2009 Fiscal Year Annual Research Report
無機クラスター高次ネットワーク構造の構築と機能創発
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
20111009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小西 克明 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (80234798)
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Keywords | ナノ材料 / 分子認識 / 自己組織化 / 金属クラスター / 結晶材料 |
Research Abstract |
本研究では、「自己組織化によるクラスター性金属種の形成」と「クラスターの超分子的集積化」の2つの自己集積化プロセスを、階層を超えて制御し、新奇な構造・機能の創発を実現することをめざしている。昨年度の研究では、第1段階に相当する「金属イオンの還元によるサブナノサイズクラスターの生成」について重点的に検討を行い、ある特定のホスフィン配位子を用いた場合には、速度論的に生成した多分散のサブナノ金クラスター混合物が塩化水素処理で、熱力的学的に安定な特定の核数をもつクラスターへ選択的に変換されることを見いだした。本年度も引き続き検討をすすめたところ、クラウン型の配座構造をとるノナ金クラスターを適当な2座ホスフィン配位子と配位子交換させると、核数の変化が誘起され、オクタ金クラスターを始めとするこれまでに知られていない新しいクラスターが生成することが、エレクトロスプレー型質量分析による追跡から明らかとなった。こうして生成したクラスターを酸などで処理すると、さらに別の構造、核数に変化する。得られたクラスターについて、X線結晶解析を用いてより詳細な幾何構造の同定を行ったところ、正四面体構造が辺を共有していくつか連なったユニークな分子構造をとることが明らかとなった。これまでに知られている球状に近い幾何構造を取るクラスターと異なり、今回得られたクラスター群は、可視領域にあたる500~800nmにかけて比較的強い特徴的な吸収バンドを示し、青色やピンク色などを呈することから、酸化還元や外場環境の変化によって色を変化させるクロミズム分子として機能する可能性がある。
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