2011 Fiscal Year Annual Research Report
無機クラスター高次ネットワーク構造の構築と機能創発
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
20111009
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小西 克明 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (80234798)
|
Keywords | 結晶材料 / 自己組織化 / 分子認識 / 超分子 / クラスター / 発光材料 |
Research Abstract |
金属原子の自己集合体であるクラスターは、配位子存在下で金属イオンを還元することで合成されるが、金属間に働く引力的相互作用が弱いため、容易に核数(nuclearity)変化や骨格組換を起こしうる。これまでの研究で、一旦形成された無機骨格が外部からの刺激によって容易に金属数変化、骨格組換を起こし、結果として単核ソースから直接成長させた場合には得られないクラスター種が得られることを見いだした。本年度は、こうした酸処理を始めとする外部物質に誘起される核数変化、骨格組換を他系にも適用し、本研究の最終目標である「集積体の集積体」の構築を目指して、第二階層の超分子集合化に適したクラスターの探索を行ったところ、2種の新奇Au8クラスターを見いだした。 トロイド型Au9クラスターを二座ホスフィン配位子dpppと反応させると、コアがエッチングされて、[Au6(dppp)4]2+が得られるが、この過程で[Au8(dppp)4]2+(1)が中間体として得られた。X線結晶解析で構造を調べたところ、3つの四面体が辺を共有して連結した構造をとることが明らかとなった。一方、[Au6(dppp)4]2+をAu(PPh3)Clと混合したところ、コアの成長がおこり[Au8(dppp)4Cl2]2+(2)が得られた。2の幾何構造は1とは異なり、辺を共有した四面体二量体の両端にCl配位子が結合した金原子が一つずつ配置されていた。これらのコア部分の酸化数が異なる二種のAu8異性体は、幾何構造に依存した特徴的な吸収・発光特性を示し、酸化還元により互いに可逆に変換可能であった。2のCl配位子を各種の有機配位子に置換可能であると予想され、これを足がかりに超分子集合体へと展開可能であると期待される。機能材料の構成単位として興味が持たれる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クラスター形成反応において創発的な考え方を導入することでユニークな特性を示す新奇クラスターの設計に成功し、さらにその後の超分子集合化にむけて有望なクラスターを見いだすことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
超分子集合体に適したクラスターの合成や誘導化法の検討を継続するともに、えられた単位クラスターを用いて集合化させその機能評価を行なう。
|
Research Products
(2 results)