2011 Fiscal Year Annual Research Report
ボトムアップ/トップダウンプロセスの融合による電子・光機能創発
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
20111012
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 琢治 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80169185)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓文 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (90373191)
田中 大輔 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60589399)
|
Keywords | 分子電子素子 / 単一分子ダイオード / 単一分子トランジスター / 単分子磁石 / 単一分子メモリ / 分子集積回路 |
Research Abstract |
まず、一つの分子で電子機能を発現できる分子を設計合成し、その分子の構造と特性の関係を明らかにする。次に、それらの分子からより複雑な分子集積回路と言える物を作り、一つの分子が示した機能の単純な総和を超える現象を創発させることを目的としている。当該年度の研究成果は、以下の通りである。 1.ポルフィリン・テルビウムダブルデッカー錯体が、一つの分子で磁石的な性質を持つ単一分子磁石としての性質をアニオン体の時には示すが、プロトン体の時には示さないことを見いだした。これにより、一つの分子の磁石としての性質をON/OFFできる分子が実現できた。 2.電子材料として優秀な性能を持つナフタレンジイミドの、グラファイト表面上での自己組織化形態を分子のアルキル鎖の長さを系統的に変化させて走査トンネル顕微鏡で研究した。その結果、自己組織化形態の変化は、アルキル鎖のエントロピー変化の非線形に寄ることを見いだした。分子構造のわずかな変化が、自己組織化形態に影響することは多いが、予測することは未だに困難である。この研究は、自己組織化現象の理解に重要な寄与を与えるもので有る。 3.カーボンナノチューブは、炭素からできていながら、電荷輸送材料として高い性能を持っている。この材料を有機分子により制御する研究を行った。有機分子として、ナフタレンジイミドを用いた場合、分子の数が増えるに従い半導体性カーボンナノチューブのプラトー領域が減り、同時に整流性が上昇することを明らかにした。 4.前年度に合成した、単一分子ダイオードを拡張して、単一分子トランジスタとなり得る分子を合成し、これをカーボンナノチューブ末端に結合させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階では、予想していなかった新たな発見(ポルフィリン・テルビウムダブルデッカー錯体が、プロトンの脱着により磁性・非磁性のスイッチングが可能であることなど)も有り、おおむね予定通りに計画は進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに、かなりの成果が出ているが、論文としての発表が遅れ気味である。次年度が、最終年度を有ることを鑑み、論文発表のスピードを上げる必要がある。また、最終年度であるので、研究をまとめる方向に努力すると同時に、これまでの成果をもとにして、新たな飛躍を生む冒険的な研究も行いたい。
|
Research Products
(33 results)