2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
20111015
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
石田 敬雄 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究グループ長 (40281646)
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Keywords | 超分子 / 電子移動 / 液晶 / 分子素子 / 光電変換 |
Research Abstract |
本年度は、錯体分子膜の電子移動能とそれを利用した液晶駆動、錯体分子膜への異種分子内包による機能創発について研究を行った。ITO基板上に形成したRu錯体分子膜の電子移動能を電気化学および固体セルで測定し、0.01Å^(-1)程度の極めて低い値を持つことを見出した。このことはRu錯体分子膜が非常に高い電子移動能を持つことを示しており、シミュレーションと低温での導電性測定の結果、Ru金属の存在が電子の飛び石となる'飛び石機構'による電子移動機構を提案した。またこの分子膜から生じる大きな電気化学電流を利用して、刺激応答素子への展開として液晶を1-2Vの低い電圧で動かすことに成功した。またRu錯体分子を絶縁分子膜中に自己組織的にパターン化することで、錯体分子から流れる電気化学電流で対流を起こし、アバランシェ的なパターン形成に成功し、分子サイズを大きく超える創発機能を発現させることができた。これは高感度な刺激応答素子への第1歩となりえる。またRu錯体分子膜中にあるナノ空間にC60誘導体を取り込むことと、ITO表面の表面積を大きくすることで、光照射時の量子収率やアクションスペクトルの形状を増強することに成功した。特に犠牲剤を入れた場合に光電流増感効果がより大きくなった。電流値はC60内包で400nmの光照射時で15倍の大きさとなった。この手法は色素増感太陽電池などにも適用可能である。またITO以外の基盤としての酸化銅などの光電流測定も行った。次年度以降はITO以外の酸化物とC60内包錯体分子膜についての測定を進める予定である。
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