2009 Fiscal Year Annual Research Report
トップダウン空間規制電極による自己組織的分子機能創発
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
20111016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 卓也 Osaka University, 産業科学研究所, 准教授 (50229556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 恵リョン 大阪大学, 産業科学研究所, 特任教授 (00362632)
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Keywords | ナノ電極 / 自己組織化 / 分子エレクトロニクス / バイオチップ / 分子認識 |
Research Abstract |
少数分子系から構成された分子ネットワークにおける確率共鳴現象の観測を行い、論理デバイスおよびセンサーとしての可能性について検討した。チトクロムc/DNAアレイに注目し、酸化シリコン表面上にネットワークを形成し、傾斜蒸着法によるトップコンタクト電極を作成して、電流-電圧特性について調べた。その結果、チトクロムcの酸化還元をクーロンブロッケードに対応した動作を行うことを明らかにした。低温における電流-電圧特性はn次元クーロンブロッケードの理論に良く一致しすることを発見した。このときの経路次元数ζは、分子ネットワークのテクスチャーを反映し、一次元的な構造が強いときにはζ値は二次元ネットワークのときの値より低くなり、バンドルを含むなど3次元的な要素を含む時には、ζ値は二次元のときの値よりも大きくなった。このことは、分子ネットワーク中での電流経路の分岐と合流が存在することを示唆しており、分子ネットワークが分子回路として働いていることがわかった。 さらに、分子ネットワークを構成する個々の要素が閾値特性を持つことに注目し、確率共鳴現象の検出を行った。信号にノイズを重畳したときの出力信号は、信号/ノイズ比が明らかに改善し、信号/ノイズ比が最も良くなるノイズ強度が存在することがわかった。このような特性は、やはり分子ネットワーク中で信号の分岐と合流が起こっていることを示していることから、分子回路を実現できたと考える。今後の課題として、シミュレーションを行い、分子回路の分岐次数、経路中の平均分子数などを求める必要がある。
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