Research Abstract |
細胞の極性は,しばしばmRNAの細胞質内局在と,RNA局在と連携した翻訳制御によって確立される。このようなRNA局在と翻訳制御の連携機構の解明は,発生・細胞生物学上の最重要課題の一つである。しかし,その分子基盤は未だよく分かっていない。局在RNAは細胞質RNP複合体を形成して輸送・局在する。最近の研究から,卵巣,神経細胞,体細胞で観察される細胞質RNP(各々,母性RNP,神経RNA顆粒,Pボディと呼ばれる)が,構成蛋白質の上でも,分子機能の上でも相同性を持つことが明らかとなってきた。すなわち,各々の細胞質RNP複合体の間には,共通したRNA制御の分子基盤が存在し,RNA局在と翻訳制御との連携は,この共通基盤の上に成立していると考えられた。母性RNP複合体の構成蛋白質として同定したMe31Bは,ショウジョウバエS2細胞においてPボディに局在する。S2細胞よりアフィニティー精製したMe31B複合体の質量分析解析により,CG6311およびCG5208蛋白質を同定した。次に,これら蛋白質に対する特異的抗体を作成し,CG6311,CG5208蛋白質が卵巣においてもMe31Bと細胞質顆粒を形成していることを見だした。一方,RNase存在下で行った免疫沈降実験から,CG6311,CG5208蛋白質とMe31Bとの会合はRNA依存的であるこ,とが判明した。現在,CG6311,CG5208突然変異体を作成すべく,近傍にP因子が挿入された系統を用いて,欠失変異体のスクリーニングを行っている。
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