2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
20112006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲田 利文 Nagoya University, 理学研究科, 准教授 (40242812)
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Keywords | RNA / 翻訳制御 / 品質管理 / タンパク質分解 / プロテアソーム / mRNA暗転性制御 / 翻訳アレスト |
Research Abstract |
生命現象の基盤である遺伝子発現の正確性は、様々な品質保証機構により保証される。多様性獲得の過程で合成される異常mRNAは、異常な翻訳が引き金となって分解が促進される。研究代表者は、先行研究において終止コドンを持たないノンストップmRNAの品質保証機構を解析した。その結果、通常翻訳されないポリ(A)鎖がノンストップmRNAでは翻訳され、(1)翻訳伸張阻害(アレスト)と(2)プロテアソームによる異常タンパク質分解、がおこることを明らかにし、真核生物のmRNAの普遍的な修飾であるポリ(A)鎖の全く新しい役割を見いだした(EMBO J.,2005 ; Cenes&Dev.,2007)。研究代表者は、遺伝病の主要な原因変異であるナンセンス変異を持つmRNA由来の異常タンパク質の発現について解析し、NMD(ナンセンス変異依存mRNA分解系)に必須なUpf複合体が、異常タンパク質のプロテアソームによる分解を促進することを見いだした。これは、「異常タンパク質の分解促進」というUpf複合体の全く新しい役割を示すとともに、翻訳に共役した異常タンパク質分解が品質保証機構の普遍的な分子機構であることを示唆する。具体的な研究項目は以下の3つである。(1)翻訳異常の認識機構(2)異常タンパク質の分解機構3)ポリ(A)鎖結合因子(Pablp)によるmRNA安定化機構。なお平成20年度については研究費の交付を受ける期間が短いため、謝金や旅費があまり必要でない結果、物品費の割合が90%を超えたが、問題なく研究を遂行できた。特に(2)異常タンパク質の分解機構については、これまでの研究結果をまとめた論文の発表を行った(J. Biol. Chem., 2009)。
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