2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
20112007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野 睦人 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80201979)
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Keywords | RNA / 輸送 / 核 / 細胞質 / 識別 |
Research Abstract |
異なる種類のRNAは、それぞれのRNA種に固有の輸送因子群が核内で結合した後、細胞質へと輸送される。核内でそれぞれのRNAに結合する因子群は、核外輸送を司るだけでなく、核外輸送後のそれぞれのRNAの運命をも規定する。つまり、RNAの種類は核内で既に輸送因子群によって識別されていて、その識別がこれら様々なRNAの運命全体に影響を与えるのである。他方、核外輸送されずに核内の様々なドメインに輸送されるRNAも存在するし、未成熟RNAは成熟化するまで核の中に留められる。以上のような選択的RNA分配制御は遺伝子発現に非常に重要であるが不明な点が多い。このようなRNAの選別はRNA上のどのような目印が識別され、その識別を行う因子はどのようなものなのかはあまり分かっていない。本研究は、核外輸送におけるRNAの識別機構とmRNA前駆体の核内保持機構の2つに焦点を当て、RNA分配制御における識別機構を明らかにすることを目的とする。 平成22年度には、U snRNA前駆体は核外輸送前にカハル体という核内構造体に一旦立ち寄り、そこでU snRNA核外輸送の必須因子であるPHAXと結合することを発見した。この生物学的意義は、PHAXがU snRNAに適正に結合しているかどうかをチェックすることである。適正に結合していない場合は、U snRNAがカハル体から核質へ脱出できない。この結果は、カハル体がU snRNA核外輸送複合体構築のサーベイランスを行っていることを意味する。この結果をもとに、U snRNAの遺伝子部位から細胞質までの輸送のモデルを提唱した。興味深いことに、mRNAはU snRNAと複数の共通の特徴を持っているが、mRNA核外輸送複合体にはPHAXが含まれない。mRNAがカハル体へ行けないということで、この核外輸送複合体の違いが部分的には説明できる。
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Research Products
(27 results)