2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
20112007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野 睦人 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80201979)
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Keywords | RNA / 輸送 / 核 / 細胞質 / 識別 |
Research Abstract |
1.私たちは、複数の共通点を持つ似たもの同士であるmRNAとU snRNAという短いRNAの間がどのように区別されているのかを調べた結果、RNAの長さが重要であることを発見していたが、そのメカニズムについては長い間謎であった。今回、細胞がRNAを長さに応じて分類するメカニズムについて次のようなことを明らかにした。RNAポリメラーゼII型による転写開始直後、染色体DNAから新生RNAの末端が現れ始めると、そこにキャップ構造という特殊な構造が付加され、キャップ構造結合因子CBCが結合する。この時点では、このRNAが将来mRNAになるのかU snRNAになるのか細胞にはわからない。転写がさらに進み、新生RNAの長さが200~300塩基長より長くなると、hnRNP CというRNA結合タンパク質の四量体が安定に結合できるようになり、そのような転写物はmRNA前駆体であると分類され、同時にU snRNA輸送因子であるPHAXのその転写物への結合が阻害される。逆に、RNAの長さが200~300塩基長より短いまま転写が終了した場合、hnRNP Cの四量体が安定に結合できず、そのような転写物はU snRNA前駆体であると分類され、PHAXをはじめU snRNA輸送因子群がRNA上に集合する。このように、hnRNP Cの四量体が「分子のものさし」となってRNAの長さを測り、RNAを長さに応じて仕分けすることが明らかになった。 2.mRNA前駆体の核外輸送塗防ぐ重要な機構が細胞には存在するが、哺乳類においてはその情報はほとんどなかった。HeLa細胞を用いて候補因子のノックダウンや過剰発現とMS2テザリングアッセイを組み合わせた解析を行った結果、スプライシングの初期因子であるU1 snRNP、U2AF、UAP56などが哺乳類のmRNA前駆体の核内保持に重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
長年の謎であり、本研究提案の目玉であった「RNAの長さを測る機構」を明らかにすることができた。この成果を一流国際誌SCIENCE誌に発表した。この成果は京都新聞(平成24年3月30日25面)に掲載された。また、京都大学および京都大学ウイルス研究所ホームページなどで概要を公開した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究期間の最後の年度にあたり、「RNAの長さを測る機構」の背後にあるmRNAの核外輸送を制御する可能性のあるシグナル伝達系をRNA-seq法などで明らかにすることに挑む。また、「RNAの長さを測る機構」の研究から派生したいくつかのシードを発展させたい。
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Research Products
(25 results)