2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内分解系ロジスティクスの疾患における役割と作動機構の解析
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
20113002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉森 保 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60191649)
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Keywords | オートファジー / 感染症 / がん / ケミカルバイオロジー / Atgタンパク質 / Rubicon / サルモネラ / NPdepo |
Research Abstract |
細胞の消化器官であるリソソームへは細胞外からエンドサイトーシス経路、細胞質からオートファジー経路が物質を運び込み、それらの物流システムによって、何が・いつ・どれだけ分解されるか、が巧妙に調節されている。本研究は、疾患とオートファジーの関係とエンドサイトーシス経路の制御機構の解明、オートファジーを制御する化合物探索を目的とする。本年度は以下の成果を得た。 1.感染症とオートファジー サルモネラに対するオートファジーでは、飢餓誘導性の通常のオートファジーとは異なり、Atgタンパク質群が3つのグループに分かれていて各々独立にサルモネラ周囲にリクルートされるという機構を新たに発見した。 2.がんとオートファジー 発がん抑制能を持つAtgタンパク質Bechnlに結合するRubiconのコンディショナルノックアウトマウスの作成に成功した。ショウジョウバエでは、Atg欠損個体ではがんの転移率が低下することが明らかになった。 3.エンドサイトーシス経路 大理石病の原因遺伝子PLEKHM1とRubiconがrab7エフェクターとしてエンドサイトーシス経路を負に調節していることを示した。Rubiconは、クラスIII-PI3キナーゼ複合体とrab7に同時に結合することで機能していた。 4.化合物スクリーニング 既に同定したサルモネラに対するオートファジーを阻害する化合物3種が、通常のオートファジーも阻害し、阻害は後期過程で起こることを見いだした。さらにGFP-RFP-LC3を用いたオートファジーのハイスループットアッセイ系を新たに開発した。このアッセイ法は、オートファゴオームの形成のみならず、リソソームとの融合による内容物分解までモニター可能である。これを用いて、化合物ライブラリー(理研NPdepo)のスクリーニングを行い、オートファジーを阻害する化合物を計18種同定した。
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