2009 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞極性物流システムによる粘膜免疫制御機構の研究
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
20113003
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大野 博司 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫系構築研究チーム, チームリーダー (50233226)
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Keywords | 細胞内ロジスティクス / 上皮細胞極性輸送 / M細胞 / トランスサイトーシス / AP-1B / M-Sec |
Research Abstract |
1. AP-1B欠損マウスの解析 上皮細胞特異的に発現する側基底面へのタンパク質極性輸送因子AP-1Bの上皮細胞特異的サブユニットμ1Bの欠損マウスでは上皮幹細胞の増殖部位であるクリプトの伸長ならびに増殖細胞の増加が認められた。また、細胞増殖を促進するβ-カテニンの核移行が有意に亢進していることから、細胞極性の形成・維持と上皮細胞の増殖は密接に関係していることが示唆された。そこで、大腸がん組織におけるμ1Bの発現量を解析した。その結果、β-カテニンの核移行が見られず比較的悪性度の低い大腸がんでは、μ1Bの遺伝子発現量は非がん部と差は認められなかった。これに対し、β-カテニンの核移行が見られた悪性度の高い大腸がんにおいては、μ1Bの発現量は非がん部と比較して有意に高かった。したがって、μ1Bはがんの悪性化を制御している可能性が示唆された。 2. GP2およびM-Secの解析 マウスGP2と結合するRNAアプタマーをスクリーニングにより同定し、その配列を決定した。 マウスM-secと結合する2つの低分子化合物について、M-Sec発現HeLa細胞の培養液に添加しその影響を観察した。その結果、片方の化合物は細胞毒性が認められ、HeLa細胞は細胞死を起こした。興味深いことに、もう一方の化合物は、用量依存的にM-SecによるTunneling nanotube形成を抑制することが分かった。培養液中から化合物を除去するとこの抑制は消失することから、化合物の作用は可逆的であることが示唆された。また、マウスM-Secの結晶構造解析に向けて、リコンビナントタンパク質の精製を行い、結晶化の条件検討を行った。
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Research Products
(15 results)