2011 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞極性物流システムによる粘膜免疫制御機構の研究
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
20113003
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大野 博司 独立行政法人理化学研究所, 免疫系構築研究チーム, チームリーダー (50233226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 俊介 北海道大学, 医学研究科, 助教 (40444525)
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Keywords | 細胞内ロジスティクス / 上皮細胞極性輸送 / M細胞 / トランスサイトーシス / AP-1B / GP2 / M-Sec |
Research Abstract |
AP-1B欠損マウスで自然発症する大腸炎の発症機序を解明するために、タイト・ジャンクションの形態や構成分子の発現量、浸潤する免疫担当細胞の種類と数、各種サイトカインや抗菌ペプチド産生量などにつき系統的に解析した結果、抗菌ペプチドの産生量の低下が認められた。また、本来は見られない腸内細菌の粘膜固有層への侵入がAP-1B欠損マウスでは有意に認められた。 AP-1Bは膜タンパク質の基底面細胞膜への極性輸送を担うことから、種々のサイトカイン受容体や免疫関連膜分子の基底面細胞膜への輸送を調べた。その結果、AP-1B欠損マウスではIL-6ST、IL-17RAなどのサイトカイン受容体やIgAの粘膜固有層から腸管内腔への輸送を担うpIgRの輸送に異常が認められたことから、これらの異常によりサイトカインシグナルが正常に伝達されず抗菌ペプチド産生が低下し、またIgAの分泌も低下することで腸内細菌の粘膜固有層への侵入を防ぐことが出来ず、炎症が惹起されると考えられた(文献1)。また、家族性大腸ポリポーシスのモデルであるApc^<μin>マウスではμ1B遺伝子およびタンパク質の発現低下が認められ、さらに大腸がんの腫瘍細胞では正常部位と比較してμ1B遺伝子の発現低下が認められたことから、AP-1Bとがんとの関係が示唆された(文献2)。 GP2結合アプタマーに関しては、細胞上に発現するGP2との結合は確認できたが結合力は弱いため、引き続きよりよいアプタマーのスクリーニングを続けている。 M-Secのイメージングに関しては、木村博士が染色性のよい抗体の作成に成功し、M細胞におけるM-Secの細胞内局在を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AP-1B欠損マウスの解析はその成果を論文として発表できた。また、M細胞の細胞内輸送に関する研究も着実に成果を上げつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は本研究課題の最終年度であり、M細胞の細胞内輸送に関する研究で論文発表ができるよう推進する。特に研究計画の変更点や県級遂行上の問題点はない。
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Research Products
(7 results)