2009 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルバイオロジーによる細胞内物流システムの理解と制御
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
20113008
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 史郎 The Institute of Physical and Chemical Research, 化合物ライブラリー評価研究チーム, 専任研究貴 (30312268)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 化合物アレイ / 分化誘導 / 低分子化合物 / がん細胞 / 細胞内ロジスティクス |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、化合物アレイを用いたケミカルバイオロジー研究を遂行している。本年度は化合物アレイを用い、細胞内ロジスティクスに影響を与える様々なタンパク質に対して、特異的に結合する低分子化合物のスクリーニングを行った。特異的にヒットした化合物に関しては、類似化合物(ネガティブコントロールなど)と併せて細胞に処理し、細胞内でも標的タンパク質に作用したか否かを判断した。 化合物アレイで標的タンパク質と特異的に相互作用する低分子化合物の探索を行い、これまでに様々なバイオプローブの取得に成功しているが、並行して分化誘導物質の探索など、細胞系のスクリーニングを行い、新規抗がん剤の開発研究を行っている。分化誘導剤として、本年度はデアミノヒドロキシボスラクトマイシンの同定に成功した。デアミノヒドロキシホスラクトマイシンはヒト前骨髄性白血病細胞株HL-60細胞の分化を誘導した。この分化誘導は既存の分化誘導剤であるビタミンD3やオールトランスレチノイン酸とは異なるメカニズムであることが分かった。また、デアミノヒドロキシホスラクトマイシンはPP2A阻害活性を有していたが, 他のPP2A阻害剤には分化誘導活性がなかったことから、PP2A阻害が直接的な分化誘導作用でないことが分かった。さらに、デアミノヒドロキシボスラクトマイシンは他の細胞に対して分化誘導活性を示さなかったことから、デアミノハイドロキシボスラクトマイシンが新たな特異的分化誘導剤として有用である可能性が示唆された。 一方、これまで用いていた低分子化合物を固定化したアガロースビーズでは、低分子化合物とタンパク質が共有結合した際に検出できないという問題点があったが、cleavableなリンカーの導入に成功し、この問題点を解決することができた。
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Research Products
(9 results)