2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
20114002
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平岡 泰 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10359078)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近重 裕次 (独)情報通信研究機構, 未来ICT研究所・バイオICT研究室, 主任研究員 (60359081)
|
Keywords | 分子細胞生物学 |
Research Abstract |
真核生物のゲノムは染色体として細胞核に収納され継承される。本研究の目的は、遺伝情報の正確な継承を保証する時空間「場」の特性を明らかにし、継承のメカニズムを分子レベルで理解することにある。これまで、蛍光タンパク質ライブラリーによる局在解析やDNAマイクロアレイによる発現解析をもとに、遺伝情報の継承に関わる蛋白質群および遺伝子群の検索を行ってきた。本年度は、分裂酵母の核膜タンパク質の検索を行った。このうち、3つの核内膜タンパク質Ima1,Lem2,Man1に注目して解析を行ったところ、これらのタンパク質が相互作用しながら核膜構造を維持することが明らかになった(Hiraoka et al., 2011, Genes Cells)。分裂酵母の減数分裂期においては、核膜や核膜孔の消失を伴わずに核細胞質問バリア機能を変化させる新奇な現象を発見した(Asakawa et al., 2011, Nucleus)。また、酵母の異数体細胞では、DNA損傷修復が低下しゲノムが不安定になることを報告した(Sheltzer et al.,2011,Science)。ヒト培養細胞を用いた研究においては、転写因子の細胞内局在制御による転写抑制の仕組みについての解析を行い、新しい制御タンパク質を発見した(Tsuchiya et al., 2011, PLos ONE)。さらに、染色体構造に影響を与える遺伝子群を検索するために、分裂酵母を用いて染色体構造を蛍光顕微鏡で解析し、野生型と比べて凝縮率が異なる変異株をいくつか見いだした。このような細胞株で、減数分裂の進行に伴うクロマチン構造変化とその制御について解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまであまり報告が為されていなかった分裂酵母の核膜および核膜孔について、重要な知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
分裂酵母において、染色体と核膜の相互作用や染色体間の相互作用が見つかった。今後、これらの相互作用に関係する蛋白質複合体を明らかにすることによって、その仕組みの理解することを目指す。そのために、生細胞イメージング、プロテオミクス解析および結晶構造解析を行う。分裂酵母で得られた結果に対して高等動物での普遍性を検討する。
|
Research Products
(53 results)