2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
20114008
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
木村 暁 National Institute of Genetics, 新分野創造センター, 准教授 (10365447)
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Keywords | 遺伝情報場 / コンピュータシミュレーション / 細胞核 / 線虫 / 染色体 |
Research Abstract |
線虫C.elegansの初期胚をモデルとして、細胞核内で遺伝情報を取り巻く環境について空間的視点から定量化し、遺伝情報場の理論を提唱することを目的とする。本研究では遺伝子収納の場である核の大きさに着目する。当該年度での成果は以下の通りである。 (1) 線虫C.elegansの初期胚発生過程における細胞分裂期の染色体の凝縮を定量化した。その結果、発生の進行とともに染色体の凝縮が連続的に変化することを見いだした。遺伝子機能阻害実験により、細胞の大きさ、核の大きさ、染色体量などを変化させて、染色体の凝縮を測定した。その結果、染色体の凝縮と核の大きさとに相関があることが示唆された。これは、細胞核という空間場が染色体の折りたたみを制御している可能性を提起する。現在は核空間が染色体のおりたたみに及ぼす影響についてコンピュータシミュレーションにより見積ることを試みている。実細胞と比較することにより、細胞内で核の大きさが染色体のおりたたみを制御する様式を再現すること目指す。 (2) 発生途上の生きた細胞の核内で染色体の特定領域の動態を可視化する実験系の構築を行った。すなわち、線虫C.elegansの染色体上に1acオペレーター配列を挿入し、この配列と特異的に結合する1acI蛋白質に緑色蛍光蛋白質を融合させた蛋白質を発現させることにより、生体内で染色体の動態を経時的に定量化することを行っている。現在は定量データを解析し、これまでの研究で言及されていない法則性・関係性を見いだすことを試みている。
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