2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
20115002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 雄一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40192471)
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Keywords | 神経回路 / 線虫 / C. elegans / 化学走性 / 嗅覚順応 / G蛋白質 / Wnt / 軸索プルーニング |
Research Abstract |
本研究では全神経回路が既知の線虫C. エレガンスを用い、化学走性行動とその可塑性の分子神経基盤を明らかにする研究を行った。本年度の成果は以下のように要約される。 1)化学走性行動の定量解析の結果、NaClへの化学走性がピルエット機構と風見鶏機構という2つの機構で行われていることを明らかにした。さらに、レーザーで個々の神経を破壊して行動を解析することにより、左右のASE感覚神経とAIZ介在神経が両機構に重要であることが明らかとなった。一方、ASEから直接のシナプス入力を受けるAIA、AIB、AIY神経の単独破壊はいずれも顕著な効果を示さなかった。この研究により、感覚受容により行動制御を行う神経回路の一部が明らかとなった。 2)匂いへの化学走性は、その匂い物質に長期間曝されると低下する。この嗅覚順応と呼ばれる行動可塑性に欠損を示す変異体の原因遺伝子としてG蛋白質のγサブユニットをコードするgpc-1がみつかった。gpc-1は匂いを受容する感覚神経AWCで働くことが明らかとなった。また、gpc-1とG蛋白質βサブユニットをコードするgpb-1の同時高発現により化学走性の低下がみられた。これらが二量体として働くと考えられる。さらに、遺伝学的解析よりGPB-1/GPC-1はGoおよびRasと平行、Gqの上流で働くことが推定され、嗅覚可塑性にG蛋白質のネットワークが枢軸的な働きをすることが明らかとなった。 3)東京大学の林、久保らとの共同で、線虫の発生期における軸索の剪定に拮抗してWntであるCWN-1/CWN-2とRorキナーゼCAM-1が軸索の維持に働くことが明らかとなった。 4)線虫を高速で追尾しながら神経活動をイメージングする装置のセットアップを一部完了した。
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Research Products
(13 results)