2008 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエの記憶形成回路の構造および機能発現の分子基盤
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
20115005
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多羽田 哲也 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10183865)
|
Keywords | ショウジョウバエ / 長期記憶 / マッシュルームボディ / 形態形成 / 匂い記憶 |
Research Abstract |
本研究は、ショウジョウバエの匂い記憶中枢であるMushroom body(MB)をモデルとして、神経経回路形成と匂い記憶形成機構の統合的な理解をはかることを目的としている。特に、ショウジョウバエの匂い記憶形成において中心的な役割を担っているmushroom body(MB)の形成機構と、そこにおける長期記憶形成の分子メカニズムを明らかにする。 1) 長期記憶形成に機能する遺伝子群の同定 長期記憶形成に伴い発現する遺伝子の同定のために、匂いと電気ショックを連合させた忌避記憶学習において記憶の前後でMBからRNAを抽出し、記憶形成により転写される遺伝子の同定を試みている。現在までのところ20個のMBからRNAを抽出し、リニアに増幅する事によって、シーケンサーで解析できうる量のcDNAを合成する手法を確立した。 2) MBの形態形成に機能する遺伝子の同定 様々な転写因子、シグナル伝達系の因子、細胞認識に関わる因子などを選別し、その遺伝子に対応するヘアピンループRNAをMBに発現さ〓、表現型を観察する。そのために必要な系統を作成し、パイロット実験を行い、すでにいくつかの候補を得ている。これに加えて、WntシグナルがMBの軸索伸張に関して重要な機能をもつことを明らかにしている。最近、このWntの下流に平面極性を司る遺伝子群が機能している可能性を見い出した。 3) MBの出力を受ける神経の機能解析 MBの出力がどのように処理されるかは良くわかっていない。エンハンサートラップのスクリーニングによりMBから入力を受けていると思われる神経群をいくつか同定した。先行実験によりその一分は長期記憶に機能している可能性が示唆されたので、さらに詳細な解析を行う。
|
Research Products
(4 results)