2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
20115009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 直紀 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 准教授 (40415295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 潤 京都大学, 情報学研究科, 講師 (70451888)
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Keywords | ネットワーク / 統計物理学 / 確率過程 / ランダム・ウォーク / 走性 / 学習 |
Research Abstract |
生物は様々な感覚入力から得られる情報を神経系で処理し行動を選択する.その際,お互いに競合する感覚入力を同時に感知し,行動を決定する.このような競合する代替行動間の選択に変化を示す線虫の突然変異体が報告されている.本研究では既知の分子生物学的知見に基づきAIAニューロンにおける細胞内シグナル伝達系を数理モデル化し,そのダイナミクスを解析することによって,競合する感覚入力情報の処理機構を解析した.AIAニューロン内シグナル伝達系を構成するタンパク質問相互作用を全て化学反応式に書き下し,質量作用則から構成成分濃度の時間変化を記述する微分方程式系を得た.このモデルを解析することによってAIAニューロン内におけるシグナル伝達のダイナミクスを解析し,報告されている突然変異体の行動選択を説明することが可能な情報処理機構を推定した. 生物には様々なペースメーカー組織があり,これらは振動性の細胞集団が構成する.たとえば,心臓の拍動を作り出す同房結節,ほ乳類概日リズムの主時計である視交叉上核,電気魚のペースメーカー神経核などがあげられる.細胞ダイナミクスに存在する種々のノイズにも関わらず,ペースメーカー組織は極めて正確な振動を実現している.我々は,広いクラスの数理モデルに対して,小さな振動子集団では振動子数Nに対してNの平方根の逆数に従って振動周期のゆらぎの大きさが減衰することと,ある程度大きなNではゆらぎがほとんど減衰しなくなることを示した.このクロスオーバーを起こすNは,振動子間の結合強度とともに上昇した. 実験データからモデルを構築する際に必要となる,パラメータ推定方法を提案した.頻繁にデータを採取することが難しい条件下を想定しながら,適切な近似を用いることにより従来法よりも高速な推定が可能となった.
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Research Products
(4 results)