2011 Fiscal Year Annual Research Report
培養系を用いたショウジョウバエGSC/ニッチ・システムの解明と分化系の開発
Project Area | Regulatory Mechanism of Gamete Stem Cells |
Project/Area Number |
20116003
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
仁木 雄三 茨城大学, 理学部, 准教授 (00134164)
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Keywords | 生殖幹細胞 / ショウジョウバエ / ニッチ / in vitro / 遺伝子導入 / RNAi |
Research Abstract |
多細胞生物の成体の組織において、生涯を通じ、血液、皮膚、「生殖細胞などが継続的に生産され続けているのは、それぞれに自己再生能と分化能を持つ未分化な幹細胞が存在しているためである。これらの幹細胞はニッチと呼ばれる特別な微小空間で維持されていることが明らかになりつつある。ショウジョウバエの生殖幹細胞(GSC)とニッチは、雌雄ともに形態的に容易に同定できるため、GSC/ニッチ・システムの最も優れたモデルであり、GSCとニッチ細胞との相互作用やシグナル伝達様式が明らかにされつつある。我々は、雌雄ともにニッチ細胞由来の細胞株の樹立に成功した。そして、これらの細胞株と始原生殖細胞あるいはGSCを共培養すると、生殖細胞が未分化の状態を維持し、増殖することが分かった。このことは、それぞれの細胞株が本来のニッチ細胞の性質を長期的に維持していることを示している。これらの細胞株で発現する遺伝子のプロファイリングを行い、ニッチ細胞特有の遺伝子を多数同定した。これらの遺伝子群には、既にGSCの維持・増殖に関与していることが明らかになっているものや全く機能のわかっていない未知の遺伝子群があった。現在、これらの遺伝子群の発現パタンや機能を明らかにしつつある。更に、GSCが分化する過程でエピジェネティクスな変化を定量的に解析した。そして、in vitroで分化した生殖細胞をGSCへ脱分化する実験系の構築にも成功した。これらの細胞株位対し、遺伝的改変を行うためpiggyBacベクターを改良し、効率的な遺伝子の導入やRNAiによる発現抑制も可能となった。今後、任意の外来性遺伝子の強制発現や遺伝子発現抑制をシステマティックに行い、ニッチ細胞で発現している遺伝子の機能を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹立したニッチ由来の細胞株の遺伝子プロファイリングも完了し、高発現している遺伝子の機能的な解析は順調に進んでいる。また、新規作成したpiggyBac vectorにより、効率的な遺伝子導入法やRNAiよる遺伝子発現抑制も行えるようになった。さらに、in vitroで分化および脱分化させる実験系を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
雌雄のニッチ細胞で共通に高発現する遺伝子群の機能をin vivoおよびin vitro系により、明らかにする必要がある。また、今回構築した人為的脱分化の実験系により、生殖細胞の発生過程における染色体のエピジェネティクスな変化を追跡する必要がある。
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Research Products
(11 results)