2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Regulatory Mechanism of Gamete Stem Cells |
Project/Area Number |
20116004
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
吉田 松生 基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 教授 (60294138)
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Keywords | 配偶子 / 幹細胞 / ニッチ / マウス / 精巣 |
Research Abstract |
本研究は、マウスのGSC(配偶子幹細胞)である精子形成幹細胞と、それを制御するニッチ細胞、及びニッチの場の実体を解明することを目的として研究を行っている。23年度は以下の成果を得た。 ① マウス精巣において、幹細胞は8.6日ごとの周期を刻んで分化過程に入る。本年度は、この周期的な分化制御が精巣組織内のレチノイン酸レベルの周期的な変動によること、さらにそれをもたらすレチノイン酸の合成と分解が、生殖細胞とそれを支える体細胞であるセルトリ細胞の両者で発現する一連の酵素の協調による、ことを明らかにし報告した(Sugimoto et al., Mechanisms of Development 2012)。 ②平成22年度に明らかとした、GSCが精巣内で頻繁に入れ替わるという新規の現象(Klein et al., Cell Stem Cell 2010)をもたらすメカニズムを、ライブイメージング法、パルスラベル法を用いた単一細胞レベルでの解析により解析した。古典的な幹細胞モデルでは説明できない幹細胞の挙動を発見した(論文発表準備中)。 ③マウス精巣では、血管に近接する精細管領域がニッチ領域と考えられる(Yoshida Science 2007)が、ここに特異的に発現する遺伝子の探索により、ニッチ細胞の候補と考えられる新規細胞集団を発見した(論文発表準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先に述べた、本計画研究の大目標に対して、申請者が独自に開発した実験系を駆使することにより、当初計画のとおり研究は順調に遂行されている。それによって得られた結果、特に前項の②、③は、研究計画立案当初の予想を越えるもので、当初想定できなかった、全く新しいGSC/ニッチ・システムの姿が浮かび上がって来ている。これらの成果は未だ論文発表に至っていないため、上記の達成度評価とする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、本新学術領域研究の最終年度である。平成23年度までの研究期間前半期の研究の結果得られた成果を取りまとめるとともに、当該研究分野の今後の方向性と可能性を提示できるべく、本質的な問いに対する研究を推進する。以下、具体的に述べる。 ① GSCが精巣内で頻繁に入れ替わるという発見(Klein et al., Cell Stem Cell 2010)を、単一細胞レベルの解析に発展させ、1971年に提唱された古典的な幹細胞モデルに変わって幹細胞の真の姿により迫るモデルを確立・提唱することを目指す。ライブイメージング法、パルスラベル法による実験結果と数理解析を組み合わせる。② 血管に近接する精細管領域がニッチ領域として機能する基盤を、新規に同定しているニッチ細胞の候補の解析を押し進めることで解明する。細胞レベルでの機能解析とともに、この細胞で発現するシグナル分子の探索・機能解析を通して、組織内微小環境を規定するメカニズムの実体を解明する。③ レチノイン酸によるGSCの周期的分化制御機構を、レチノイン酸作用の可視化を通して時間的空間的に詳細に解析する。④ 以上の結果、およびGSCから分化段階の進んだ細胞が可逆的にGSCに戻る発見(Nakagawa et al., Science 2010)など、本計画研究で得られた従来の成果もふまえ、マウスGSC/ニッチ・システムをGSCそのもの、それを支えるニッチ細胞とニッチの場の総体として提示していく。 【連携研究者】 杉本 幸彦 熊本大学・医学薬学研究部・教授: マイクロダイセクション法とマイクロアレイ法の技術供与 北舘 祐 基礎生物学研究所・生殖細胞研究部門・助教: ニッチ細胞の実体の解明 原 健士朗 基礎生物学研究所・生殖細胞研究部門・助教: GSCの実体の解明
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] Cyclical and patch-like GDNF distribution along the basal surface of sertoli cells in mouse and hamster testes.2011
Author(s)
T. Sato, Y. Aiyama, M. Ishii-Inagaki, K. Hara, N. Tsunekawa, K. Harikae, M. Uemura-Kamata, M. Shinomura, X. B. Zhu, S. Maeda, et al.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 6
Pages: e28367
DOI
Peer Reviewed
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