2008 Fiscal Year Annual Research Report
プラナリア有性化に伴うGSC/ニッチ・システムの誘導機構
Project Area | Regulatory Mechanism of Gamete Stem Cells |
Project/Area Number |
20116007
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 一也 Keio University, 医学部, 講師 (50360110)
|
Keywords | 生殖幹細胞 / ニッチ / プラナリア / 有性生殖 / 無性生殖 / 生殖様式転換 |
Research Abstract |
プラナリアは環境に応じて無性生殖と有性生殖の2つの生殖様式を転換する。無性生殖から有性生殖への切り替え(有性化)では、多能性幹細胞ネオブラストから生殖器官の誘導を伴う。本研究では、有性個体に含まれる有性化因子と称する化学物質の刺激により、無性個体に生殖器官を誘導する有性化系を利用して、有性化に伴うGSC(生殖幹細胞)/ニッチ・システムの誘導機構を解明することを目指している。具体的には(1) GSCおよびニッチ細胞の同定、(2)有性化に伴うGSC/ニッチ・システムの誘導過程の解析、(3) GSC/ニッチ・システムを誘導する有性化因子の同定を行う。本年度は、これらの研究項目に関して以下の成果をあげた。 研究項目(1) プラナリア無性個体で生殖幹細胞に発現すると信じられているnanosホモログ遺伝子の発現を、Dugesia ryukyuensis無性個体で調査した。近縁種のD. japonica無性個体では卵巣および精巣分化予定域に発現が認められるのに対して、D. ryukyuensis無性個体では卵巣分化予定域のみで発現が認められた。このことは、D. ryukyuensis無性個体では雄性生殖幹細胞を決定するニッチ細胞が存在していないことを示唆している。この発見は、ニッチ細胞の同定の実現に関連すると考え、次述する異種間の細胞移植実験を構築するきっかけとなった。 研究項目(2) 誘導過程を追跡する手法として、異種間の細胞移植実験の構築を目指した。連携研究者が保有するPH20遺伝子が、D. ryukyuensisには発現せず、D. japonicaの全細胞に発現することがわかった。D. ryukyuensisに移植したD. japonicaの細胞はこの遺伝子を用いると検出が可能であると考えられる。これを利用すると蛍光タンパク質標識細胞を作製するという大目標を遂げるまえに、GSC/ニッチ・システムの誘導現象を解析できることが期待できる。移植に用いるネオブラストの分画方法はD. japonicaで確立されていたので、これ追試したところ成功した。 研究項目(3) 有性化因子単離・同定のために、これまで有性個体の水抽出物を材料としていたが、今回、有機溶媒相にも有性化活性があることがわかった。
|
Research Products
(8 results)