2009 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素シグナル応答機構の解明を目指した新規蛍光プローブ・イメージング技法の開発
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
20117003
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 泰照 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (20292956)
|
Keywords | 蛍光プローブ / 活性酸素種 / 活性窒素種 / カルセイン / フルオレセイン / 細胞内滞留性 / 長時間観測 |
Research Abstract |
本研究課題は、情報伝達機構の制御分子としての活性酸素種(ROS)・窒素種(RNS)の役割を明らかにするために必須となる、高選択的、高感度蛍光プローブ類の開発を行うことを目的とする。本年度はまず、昨年度開発することに成功した、細胞からの漏出が最小限に抑えられており、長時間にわたって生細胞中で発生するRNSを高感度に検出可能な蛍光プローブDACalの改良を試みた。DACalはカルセインを分子骨格としているため、中性付近pHであっても、少しのpH変化で大きな蛍光強度の変化が見られてしまう欠点を有しており、これを克服すべく蛍光団に塩素原子を導入したDCI-DACalを開発した。本プローブは、pH5程度まで安定した蛍光強度を示すRNSプローブであることが確認され、実際本プローブをAMエステルへと誘導体化したプローブを活用することで、生細胞中で発生するごく少量のNOの検出に成功した。これらの結果は、本年度J. Am. Chem. Soc.誌に記載された。次にSNAP、Haloなどの小分子を結合させる活性を有するタグ蛋白質技術を活用し、特定の蛋白質へのROS、RNSシグナルを高選択的に検出可能な新たな蛍光検出技術の開発を開始した。本目的には、細胞に滞留しないwashableな蛍光プローブの開発が必須である。そこでSNAP基質となるベンジルグアニン構造、Halo基質となるクロロアルキル構造を有する各種蛍光団誘導体を開発し、生細胞への負荷、余剰プローブの洗浄操作に最も適している骨格を検討した。その結果、脂溶性の比較的高いフルオレセイン誘導体であるTokyoGreenと、ベンジルグアニンの組み合わせが非常によい特性を示すことが明らかとなった。本プローブはそれ自身、緑色蛍光のwashable SNAP基質として極めて有効であることが、SNAP発現培養細胞を用いた検討から確認され、最終目的とするwashableなROS、RNSプローブ母核として理想的な特性を有することが明らかとなった。
|
Research Products
(8 results)