2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素シグナル応答機構の解明を目指した新規蛍光プローブ・イメージング技法の開発
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
20117003
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 泰照 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20292956)
|
Keywords | 蛍光プローブ / 活性酸素種 / 過酸化水素 / α-ジケトン / ルシフェラーゼ / アミノルシフェリン / 生物発光プローブ |
Research Abstract |
本年度はまず、過酸化水素を選択的に検出可能な蛍光プローブの開発を行った。具体的には、α-ジケトン構造を有する化合物は過酸化水素と特異性高く反応し、二分子の安息香酸誘導体に分解する性質を活用し、過酸化水素と反応する前はほぼ無蛍光であり、反応後は強い蛍光を発するようになる新規蛍光プローブNBzFをデザイン、開発した。NBzFのα-ジケトン部位は低いLUMOを持つため、分子内光誘起電子移動により蛍光が消光しているが、これが過酸化水素との反応によって高いLUMOを持つ安息香酸類に変化するため、生成物は強い蛍光を発する。本プローブは、同じパーオキサイド構造を持つパーオキシナイトライトとは若干の反応性を有するものの、従来の過酸化水素プローブに比して高い選択性を有し、かつ大きな蛍光強度変化を示すことが明らかとなった。実際本プローブを用いて、PMA刺激によるRAW 264.7マクロファージ細胞内、あるいはEGF刺激によるヒト扁平上皮がんA431細胞内の過酸化水素生成の可視化に、それぞれ高いS/N比で成功した。さらにin vivoのhROS生成観測手段として、生物発光を検出原理とするイメージングプローブの開発を行った。すなわちホタルルシフェリン類を基本骨格とし、hROSと反応するまではその発光が抑えられているが、hROSと反応後は通常のルシフェリン類と同様に発光するプローブを、分子内光誘起電子移動を活用して開発した。より具体的には、アミノルシフェリンのアミノ基上にアルキル置換基を導入してもその発光特性は失われないことをまず見出し、この知見を元に、電子供与性部位を分子内に有し、これがhROSとの反応で脱離するアミノルシフェリンプローブを設計、開発した。本プローブはルシフェラーゼの基質となるものの、ほとんど生物発光を示さないが、これがhROSと反応すると高い生物発光を示す生成物へと変換されることが確認され、世界初のhROS検出生物発光プローブとして機能することが明らかとなった。
|
Research Products
(36 results)