2011 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素リガンド・レセプター反応制御のケミカルバイオロジー
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
20117007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内田 浩二 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (40203533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 貴広 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (80447838)
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Keywords | 脂溶性リガンド / プロテオミクス / センサー分子 / 分子プローブ / 受容体 |
Research Abstract |
生物は様々な脂溶性化合物に曝されており、これらの化合物は健康や寿命に大きく影響しているものと考えられる。こうした化合物には、環境中の様々な有機化合物だけでなく、酸化ストレスにおいて生成される酸化脂肪酸なども含まれる。こうした脂溶性化合物は細胞膜あるいは細胞内受容体に作用し、受容体刺激による適応応答の誘導に関与することが明らかとなってきている。本研究では、食品成分を含めた内因性および外因性の脂溶性物質に関し、増殖因子などによる受容体シグナリングに与える影響を解析する。特に、脂溶性活性種の中に受容体刺激とともに活性酸素産生を活性化するものを見いだしており、センサータンパク質への直接的相互作用を介したシグナリング機構を解析する。本研究課題では、自然免疫系受容体の一つである、レクチン様酸化LDL受容体(lectin-like oxidized LDL receptor-1; LOX-1)に着目し、LOX-1の内在性リガンドの同定を試みるとともに、LOX-1シグナリング活性化機構解明を試みた。LOX-1機能解析のためのモデル細胞として、LOX-1-Myc安定発現CHO株、並びにCFP/LOX-1の発現レベルの異なるLOX-1安定発現CHO株を樹立し、様々な過酸化脂質修飾アルブミンを調整し、LOX-1リガンド活性を調べたところ、HNE修飾アルブミンに強いリガンド活性を見いだした。また、HNE修飾アルブミンに生成したHNE-ヒスチジン付加体がリガンドの本体出ることを明らかにした。そこで、還元的アミノ化反応を利用したピリジルアミノ化によりHNE-ヒスチジン付加体の定量法を確立し、さらに酸化LDLアポリポタンパク質中に生成されたHNE・ヒスチジン付加体の絶対量の測定に成功した。この他、LOX-1への酸化LDLの結合は、LOX-1下流のシグナル伝達経路を活性化し、炎症応答を惹起することが知られている。ことからHNE-ヒスチジン付加体について、内皮細胞などの培養細胞を用いて活性酸素の産生を培養細胞レベルで検討し、NADPHオキシダーゼの関与を明らかにするとともに、HNE-ヒスチジン付加体による白血球接着分子の発現誘導機構の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
過酸化脂質修飾タンパク質にスカベンジャー受容体のリガンド活性のあることを見いだし、自然免疫・自然炎症受容体の内因性リガンドの研究の発展につながる道がひらけたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Toll様受容体そのものについての研究は国産の成果として十分推進されているように思われるが、それらの内因性リガンドの研究が十分ではないように見受けられる。本研究における成果を自然免疫・自然炎症の研究の進展に繋げたい。
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[Journal Article] Transthiocarbamoylation of proteins by thiolated isothiocyanates2011
Author(s)
Shibata, T., Kimura, Y., Mukai, A., Mori, H., Ito, S., Asaka, Y., Oe, S., Tanaka, H., Takahashi, T., and Uchida, K.
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Journal Title
J. Biol. Chem
Volume: 286
Pages: 42150-42161
DOI
Peer Reviewed
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