2011 Fiscal Year Annual Research Report
内皮由来弛緩因子としての活性酸素の役割と作用機構の解明
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
20117009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下川 宏明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00235681)
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Keywords | 活性酸素 / 一酸化窒素合成酵素 / Rho/Rho-kinase / メタボリックシンドローム / 臓器関連 |
Research Abstract |
研究の目的:「一酸化窒素合成酵素(NOSs)の生物学的多様性に関して、特に、NOを介さない機序による生体の恒常性維持機構を解明すること」 研究1.NOSsの血管反応性における生物学的多様性の分子機構の解明 (1)NOとは異なる弛緩反応であるEDHF反応が大血管に比し微小血管で亢進している分子機構について詳細に解析した。その結果、内皮型NO合成酵素(eNOS)は、生理的条件下でも大動脈に比し微小血管で機能的に抑制されており、これには、eNOS活性化に関与する機構のうちCaMKKβとCaveolin-1が関与していた。 (2)また、血管平滑筋レベルにおいては、微小血管でPKG1αの活性が亢進しており、我々がEDHFの本体の一つとして同定したH_2O_2に対する弛緩反応が亢進していた。 研究2.NOSs/Rho-kinase経路の臓器連関における生物学的多様性の解明 (1)eNOS欠損マウスにおいて低下しているEDHF反応が正常骨髄移植により改善されること、骨髄-血管内皮連関には脂肪細胞由来のadiponectinが関与していることを明らかにした。 (2)eNOS欠損マウスを用いた検討において、各臓器(心臓、肝臓、腎臓、血管等)において、NO/cGMP系とRho-kinase経路が互いに抑制的に作用していることを明らかにした。 研究3.NOSsの代謝調節における生物学的多様性の解明 (1)eNOS欠損マウスにおいて認められるメタボリックシンドロームの表現型が正常骨髄の移植で改善することを示した。 (2)同上の表現型がRho-kinase阻害薬fasudilの慢性投与により改善されることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、当初予定した通りに、順調に進行している。具体的には、微小血管においてEDHF反応が亢進している分子機構について、内皮レベルと血管平滑筋レベルで複数の機序が関与していることを明らかにすることができた。また、骨髄が微小血管機能を調節することにより代謝系の調節にも重要な役割を果たしていることを初めて明らかにすることができ、さらに、骨髄-内臓脂肪(アディポネクチン)-血管内皮という臓器連関を初めて明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成24年度も、研究計画に従い、研究を実施していきたい。 研究の実施に当たって、特に問題となるようなことは存在しない。
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