2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
20118002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 伸幸 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (20281107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 勝 京都大学, 化学研究所, 教授 (20025480)
若井 千尋 京都大学, 化学研究所, 助教 (40293948)
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Keywords | ATP / 自由エネルギー / 水和・溶媒和 / 分子シミュレーション / エネルギー表示 / 加水分解 / 分布関数 / 基質結合 |
Research Abstract |
まず、自由エネルギー汎関数の改善を行った。溶媒分子数をNとしたとき、これまではN>>1であることを仮定してきた。低密度極限(溶媒-溶媒相関が無視できるとき)で、汎関数が厳密であると述べてきたが、その証明には、N>>1の条件を必要とした。任意のNについて、低密度極限が厳密になるように汎関数を改善した。この変更は0(1/N)であり、N>>1を満たしていた、これまでの計算結果には影響しない。影響があるのは、タンパク質への基質結合のような場合である。タンパク質への基質結合のとき、タンパク質を「溶媒」種とみると(または、タンパク質自体を混合溶媒とし、構成アミノ酸残基を「溶媒」種とみると)、その個数Nは1である。今回の汎関数の変更によって、Nが小さい領域での近似が改善される。次いで、ATP水溶液系の水和自由エネルギー計算を行った。自由エネルギー計算そのものは、問題なく可能であることが分った。すなわち、計算そのものはスムーズに進行し、また、結果のオーダーも妥当である。課題は力場にあることが分った。GaussianとAMBER-RESPの結合によって、部分電荷を決定する。さらに、タンパク質への基質結合を解析した。benzamidineを基質(阻害剤)として、アミノ酸残基数が258のthrombinを取り上げた。アミノ酸残基を「混合溶媒」中の溶媒種とみなすことで、基質結合の自由エネルギーをアミノ酸残基毎の寄与に(形式的に)分割した。基質は+1の電荷を持ち、荷電アミノ酸からの寄与が圧倒的に大きい。水の寄与は正であり、結合サイトに元々あった水を「追い出す」仕事に対応することを見出した。
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