2012 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒和ダイナミクスの計算手法開発とATP加水分解過程への応用
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
20118003
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高橋 卓也 立命館大学, 生命科学部, 教授 (70262102)
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Project Period (FY) |
2008-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 水和 / MD / QM / ハイパーモバイル水 / ダイナミクス / 水モデル / ATP加水分解 / イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
ATP加水分解過程にともなう水和水の動的な性質変化とタンパク質自体のダイナミクスや機能の間の相互作用の解明のため、加水分解の各ステップにおいて系のダイナミクス変化を記述する各種関数を計算した。特に溶媒効果の効果的な計算法に関して検証と再検討を行いつつある。平衡論的な自由エネルギーという視点だけでなく力学的な視点からの溶質と溶媒の相互作用を明らかにするために最適な水分子および溶質分子モデルを開発し様々な溶質周囲の水分子のダイナミクスに関して、実験結果の再現、特に運動性が通常の純水中よりも速い水(ハイパーモバイル水HMW)の立証と物理的メカニズム解明を目指した。ポリリン酸分子を中心に、電子状態の検討を含めた網羅的な計算を行った。これまで様々な既存の水モデル(TIP系、SPC系、POL3)とイオンパラメタの組み合わせを検証し、POL3のような分極モデルでもHMWが再現できないことが確認できた。そこでTIP5Pモデルを修正した新たな水モデルを開発し、これまで再現できなかった単原子分子イオン周囲やリン酸分子周囲でもHMWを再現できるようになった。このときの低分子周囲での水分子の速い動きの原因となる相互作用を解明した。さらにタンパク質など巨大分子での計算を高速に行うための計算手法を発展させ、分子間相互作用の定量的な評価を行えるようになった。イオンと水との相互作用に関して、力場改変によりダイナミクスがどう変化するかを明確にできた。ただしリン酸イオンの場合、LJ力場パラメタの単純な改変がHMWを増やす効果が見えず、逆に遅くなることもあり、、まだモデルの最適化において問題が残されている。さらに溶質分子量が大きくなるほど、誘電緩和実験とMD計算の間でダイナミクスに違いが生じることなどがより明らかとなった。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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