2008 Fiscal Year Annual Research Report
ATP駆動蛋白質の機能発現における水の役割 : 統計力学理論解析
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
20118004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 正弘 Kyoto University, エネルギー理工学研究所, 教授 (90195339)
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Keywords | 水 / 蛋白質 / ATP / 水和 / エントロピー / 自由エネルギー / 積分方程式論 / 形態熱力学 |
Research Abstract |
(1) 分子性流体用積分方程式論と多極子モデルを用いて疎水性および親水性溶質の水和構造解析を行い, 水和のエントロピー, 自由エネルギー, 比熱どの関連性を明らかにした (2) 蛋白質の圧力および低温変性の分子機構を明らかにした。 (3) アクチンフィラメント(F-actin)近傍におけるミオシンには, 水分子の並進移動の効果に起因して, F-actinおよびミオシンの幾何学的形状を反映したエントロピー力場が形成されると我々は考えている。「ミオシンとATPの結合⇒ATPの加水分解⇒生成物の遊離」の各ステップにおいて, 力場を巧妙に変化させながら, 一方向への移動を実現しているはずである。 この新しい概念を実証するための基礎解析として, 剛体モデルと3次元積分方程式論を用い, 小剛体球集団中にある立体の近傍に, 大剛体に対して形成される力場を計算した。立体として, 大剛体球を一列に並べた連結体と, 大剛体球で構成される二重螺旋構造を考えた。大剛体として, 大球および大回転楕円体を考えた。力場によって, ミオシンがF-actin近傍に閉じ込めちれることなどが分かった。 (4) 「一方向に回転するF1-モーター(F1-ATPase) ; リガンドを細胞内から外に排出するエクスポーター ; リガンドを細胞外から内に取込むインポーター」を対象として, 既存の研究論文をレビューし, 問題点の特定と基本となる研究方針を検討した。 (5) 蛋白質や蛋白質の複合体の立体構造は, 実験的に決定されていても未完成であることが多い。それらを完成させる手法について検討した。
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