2009 Fiscal Year Annual Research Report
F1-ATPaseモーターの機能における揺らぎと水和
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
20118010
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宗行 英朗 Chuo University, 理工学部, 教授 (80219865)
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Keywords | ATP / 水和 / 分子モーター / F1-ATPase / 非平衡 |
Research Abstract |
今年度の予定は,1.回転電場印可・温度調節可能な顕微鏡を稼働させるところまで持ってゆくこと,2.非水溶媒としてDMSOを30%加えた条件下でF_1-ATPaseの回転をさらに詳細に観察すること,3.βサブユニット単体とα_3β_3γ複合体について,ヌクレオチドの結合の温度依存性の解析から熱力学パラメーターを求めること,の3点であった.1.に関しては特注の部品が多かったため予定がかなり遅れ,2010年3月の時点で温度調節装置は試作品の検討中,回転電場装置は構成要素となる信号発生装置などの納品待ちの状態である.これは2010年度の早い時期に稼働状態に持ってゆく.2.に関してはDMSO存在下では見られる停止状態の位置はATP待ちの位置であることが確認され,さらにステップ回転を行っている間の角速度も低下する事が分かってきた.DMSOの溶媒の粘度に対する影響はあまり大きくないことが分かり,DMSOはステップの待ち時間とステップ自体に影響を与える事が明らかになりつつある.これも2010年度にさらに慎重な検討を重ねる予定である.3.に関してはMg存在下でATPとADPの結合は単離βサブユニットに対し,実質的に同じ熱力学パラメーターを示すこと,ややばらつきはあるが単離サブユニットに比べてα_3β_3γ複合体に対するMgADPの結合は明らかにエントロピー変化が大きくエンタルピー変化が小さいことがわかった.これはサブユニット相互作用の変化を反映していると考えられ,非常に興味深い.またMgGTP,MgGDPの単離βサブユニットに対する結合の熱力学パラメーターはMgATP,MgADPと比べてエントロピー変化だけが異なっておりプリン環と蛋白の相互作用には疎水相互作用が重要であることを示している.以上の結果は現在のところ全て学会発表止まりで,さらに慎重な検討を要するものであるが,興味深いものであると考えている.
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Research Products
(7 results)