Research Abstract |
本研究では,顔認知の特異性がもたらすコミュニケーション障害や二次的な社会性障害の神経基盤を解明するため,脳電位(EEG)や脳血流計測(NIRS),視線追跡,紙面調査を通じて,小学生・中学生における脳機能と顔認知の定型発達について検討し,発達障害や幼若期の脳損傷に起因する顔認知の異常やその修復機転を解釈することを目的としている. 平成21年度は,平成20年度において上記目的に沿って立案した計画に基づき,健常成人および定型発達児における脳機能データ収集をおこなった.検査プロトコルには,顔の意味情報処理(自他識別,個人の特定)過程を評価するパラダイムを用い,このときの脳機能をEEGあるいはNIRS,眼球運動計測を通じて検討した.さらに,ソーシャル・スキル・トレーニングなどの臨床サポートを通じて,円滑なコミュニケーションを支える社会性認知と顔認知研究の重要な関連性についての啓蒙活動に努め,発達障害群被検者のリクルート体制を気付いた.そして,既に臨床群の脳機能計測に着手している.これらの成果は,内外の研究会(Neuroscience 2009,日本臨床神経生理学会,ほか)および,周辺の療育センターや教育機関,所属機関での講演を通じて報告された.また,成果の一部は学術誌に投稿中である.
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