2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
20119004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯高 哲也 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (70324366)
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Keywords | 扁桃体 / ストレス / 紡錘状回 / 上側頭回 / 情動 / 印象 / 遺伝子 / fMRI |
Research Abstract |
本年度は昨年度までに行った研究の中で、2本の論文に関する査読がすすめられている。最初の論文は顔の向きと嗅内野との関連を示した研究結果で、査読者から追加実験を指示された。そのため、新たに12名の被験者を用いて第2実験を行った。その結果においても、当初の結果と類似した嗅内野の賦活が認められた。これらの結果を総合して論文を書きなおし、再投稿中である。顔の虚記憶に関する論文は、現在1回目の査読が終了して改定中であり近日中に再投稿する予定である。 次いで、顔の人相の悪さと扁桃体の賦活に関する共同研究の結果を英文専門誌に発表した(Miyahara et al, inpress)。これは白人の死刑囚と一般人の顔写真を用いた実験で、この両者の主観的評定は死刑囚の顔の危険度が有意に悪かった。しかしfMRIで計測された扁桃体の活動は、両者で有意差はなかった。さらに詳細な解析を行うと、扁桃体と上側頭回の信号相関と主観的評定の間に有意な関係があった。その結果は、扁桃体から側頭葉皮質へのネガティブなフィードバックの存在を示唆するものであった。また別の実験では顔認知に関わる扁桃体と上側頭回を結ぶ神経線維の体積が、被験者の自閉性尺度得点と相関していることを報告した(Iidaka et al, 2012)。昨年度は未定であった論文の、掲載ページなどが確定した(Iidaka et al, 2011)。 最後に、現在進行中の実験結果について述べる。これは被験者が画面に映る笑顔の動画を見ている時の脳反応と、被験者の共感の程度を調べたものである。現在までに、14名の被験者の実験が終了している。その解析結果では、内側前頭前野の活動と被験者の主観的共感度に正の相関があった。さらに基底核領域の活動にも、同様の相関を認めた。これらの所見は、こころの理論と前頭葉内側部および社会的報酬と基底核の関係から考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
投稿中の2本の論文はいずれも修正が必要であるが、これを速やかに再投稿することで近い将来に論文として発表できる可能性がある。また共同研究により英文専門誌に1本と、短報であるが神経科学の専門誌に1本の論文を発表することができた。また新たな顔認知と共感性に関する実験を行い、予備的であるが有意な結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
顔認知と共感性に関する実験の被験者数を増やし、20名以上にする予定である。これにより、実験結果をさらに頑健なものにできると考えている。さらに笑顔だけではなく他の表情の動画を用いることで、この結果が感情の種類に特異的な所見なのか、もしくは共通して見られる所見なのかを調べたいと考えている。
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Research Products
(5 results)