2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
20119007
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
柿木 隆介 生理学研究所, 統合生理研究系, 教授 (10145196)
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Keywords | 脳波 / 機能的MRI / 顔 / 近赤外線分光法 / 認知 |
Research Abstract |
人間の高次脳機能の中でも、「顔認知」は「言語認知」と並んで、他者ならびに社会に適応する上で最も重要なものの1つと考えられる。本研究の目的は、脳波、脳磁図、機能的磁気共鳴画像(fMRI)、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)といった非侵襲的脳機能測定法を用い、基礎研究および臨床研究を行うことによって、人間における顔認知機構を明らかにすることである。 2011年度は7編の英文原著論文を発表した。いずれも顔認知研究の進展に大きく寄与する研究であった。そのうち、中央大学と共同研究を行っている「乳児の顔認知」に関する代表的な論文を紹介する。 Kobayashi M,Kakigi R他4名(2012)Do infants recognize the Arcimboldo images as faces?Behavioral and near-infrared spectroscopic study.J Exp Child Psychol 111(1):22-36. 本研究では,乳児における「アルチンボルドの顔のだまし絵」の認識を注視行動および近赤外線分光法(NIRS)によって検討した。実験1では,顔に見える正立のだまし絵と顔に見えない倒立のだまし絵を対提示し,生後5-6ヶ月児および7-8ヶ月児の注視時間を計測した結果,生後7-8ヶ月児のみ正立のアルチンボルドのだまし絵を有意に選好した。実験2ではアルチンボルドのだまし絵を観察中の生後7-8ヶ月児の脳活動を計測した結果,正立のだまし絵を観察中でのみ左側頭部位の脳活動が有意に上昇することが示された。これらの結果は,アルチンボルドのだまし絵を顔として認識する能力が生後7ヶ月ごろに発達し,その処理は左側頭部位が関与していることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年間に7編もの英文原著論文を発表するというのは極めて異例の事であり、本研究が非常に順調に進展していることを端的に示している。さらに、投稿準備中の論文も現段階で4編あり、来年度も高い研究水準を保つことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究は非常に順調に進展しており、このままの研究体制を維持していく。来年度は最終年度であり、これまでの研究活動を総括する予定である。本領域では、現在、一般向けの本を1冊、研究者向けの専門雑誌3誌において、顔認知に関する特集号(1つは英文)が編集中であり、本班において行われた研究の成果公表も非常に活発に行われている。私は、全ての刊行物の編者を務めており、予定通りに発行するように努力する。2012年10月には、私が代表として、23名の外国人研究者を招待しての大規模な国際シンポジウムの開催を予定している。
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