2011 Fiscal Year Annual Research Report
多成分、非常態下における二次粒子生成・成長過程の解明
Project Area | Impacts of aerosols in East Asia on plants and human health |
Project/Area Number |
20120002
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奥山 喜久夫 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00101197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 敏行 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (40333661)
瀬戸 章文 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (40344155)
荻 崇 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30508809)
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Keywords | エアロゾル計測 / イオン誘発核生成 / カーボン粒子 / 揮発性有機化合物 / ナノ粒子の帯電 / 航空機観測 |
Research Abstract |
常温および常圧条件下での揮発性有機化合物(BVOC)、アンモニアガス存在下での二次粒子生成実験においては、BVOCの主成分一つとして、特に全球排出量の約半分を占めるイソプレンを対象に、SO_2含有摸擬大気からの二次粒子生成実験で確立した技術を応用し、この装置に新たにイソプレン蒸気またはアンモニアガスを加えて多成分系汚染ガスとし、常温および常圧下で、どのように粒子生成に影響するかを評価した。ただし、広島大学では、軟X線の照射でのアンモニア添加を行い、室蘭工業大学ではイソプレン蒸気およびSO_2を添加したモデル大気にUV照射を行い、生成する粒子の粒子径分布の変化を調べた。次に硫酸系二次粒子の生成・成長のモデル化に関しては、SO_2および水蒸気からの硫酸系二次粒子生成について、モデルの開発を行い、モデル実験と実大気のギャップを埋めるため、実験系の改良を行い、実大気のSO_2濃度での実験を可能にし、粒子生成速度の計測を行い、古典的核生成理論との比較を行った。カーボン凝集粒子の発生および特性の評価では、カーボンナノ粒子凝集体、多孔質体を合成し、密度・空隙率・屈折率の測定を行った。一次粒子径の減少や空孔径の増加に伴い密度は増加し、複素屈折率の実部と虚部は、空隙率の増加に伴って減少することが確認された。また、噴霧乾燥法により合成したカーボン粒子をKANOMAX社製、Magee社製のカーボンモニターに導入し粒子濃度を測定した。プラズマを用いたナノ粒子の帯電装置および粒子凝縮成長装置の開発では、開発した装置によって、3nmのAg粒子に対して約60%、1.5nmのイオンに対して約30%の検出効率が得られ、本装置を低温化におけるSO_2のUV照射による二次粒子生成に適用した。また、福江島における大気エアロゾルの粒度分布の測定を行い、航空機観測データとの相関解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、常温および常圧条件下での二次粒子生成実験において、イソプレン蒸気およびSO_2を添加したモデル大気中で生成する粒子の粒子径分布の変化を調べ、SO_2および水蒸気からの硫酸系二次粒子生成について、モデルの開発を行った。さらに実大気のSO_2濃度での実験を可能にし、粒子生成速度の計測を行った。またカーボン粒子計測では、濃度・密度・空隙率・屈折率の測定を行い、プラズマを用いた帯電装置の開発では、低温化におけるSO_2のUV照射による二次粒子生成に適用し、良好な結果を得ている。以上より研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は植物起源揮発性有機ガス(VBOC)が二次粒子生成に及ぼす影響の実験的評価を推進する。特にこれまでに開発した粒子サイズ拡大装置(PSM)を用いて粒子生成・成長の初期過程を解析する。また、前年までに行った実験の、数値モデルを用いた理論的検討を行う。また、操作条件を制御して合成したカーボン粒子の濃度、屈折率、密度、空隙率などをカーボンモニターにより測定する。
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Research Products
(34 results)