2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会経済活動のグローバル化を考慮したエアロゾル排出源と影響の評価
Project Area | Impacts of aerosols in East Asia on plants and human health |
Project/Area Number |
20120005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東野 達 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 教授 (80135607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 晃 静岡県立大学, 環境科学研究所, 准教授 (50240958)
山本 浩平 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (10263154)
南齋 規介 独立行政法人国立環境研究所, 循環型社会・廃棄物研究センター, 主任研究員 (80391134)
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Keywords | 越境汚染 / 化学輸送モデル / 産業連関分析 / 二次粒子 / BVOC / インベントリ |
Research Abstract |
二次広葉樹林に設置された観測タワーを利用した簡易渦集積(REA)法により樹冠部におけるコナラ群落からのイソプレン放出フラックスの年間データを取得した。なお、新たにDC電源のみで作動可能なREA法サンプリング装置を開発した。森林群落からのイソプレン放出量季節変動データが得られ、わが国の排出インベントリ構築に不可欠な実測に基づく基礎データとしてその有用性は極めて高い。また、同サイトでエアロゾルを捕集・分析したところ、イソプレン由来と考えられるトリオール成分が検出され、日中の平均気温と強い正の相関が認められ,二次粒子生成が示唆された。 東アジアを対象とし、わが国への二次粒子(硫酸塩、硝酸塩等)沈着量に及ぼす前駆物質排出部門(交通輸送等6部門)及び地域別(日中韓)寄与度を、ゼロエミッション法による大気輸送シミュレーションから季節別に検討した。各発生源の寄与を0.5°×0.5°グリッド単位で定量的に評価し、硫酸塩については、1、7月とも特に九州において中国の寄与が大きいが、硝酸塩については排出国による影響に明瞭な傾向は現れず、地域による差も大きいことが分かった。硫酸塩については、両月とも製造業が最も寄与が大きく、次いでエネルギー部門であったが、硝酸塩については発生部門の寄与度に明確な差違は認められなかった。 アジア国際産業連関表をもとに、日米およびアジアの計10ヶ国の76経済部門における黒色炭素(BC)及び有機炭素(OC)粒子排出量を推計し、部門別内包型原単位を求めた。日本を除くアジアでは、移動発生源よりもバイオマス燃焼由来、農作物の野焼きによる排出量が多く、中国農業部門からの輸入額が大きい日米の中国への誘発量が同程度で最大となり、日本の最終需要による中国への誘発量は日本国内の誘発量に対してBCでは1/6、OCでは1/5程度に達するなど、これまで皆無であった最終需要による含炭素粒子排出の誘発構造が初めて明らかとなった。
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Research Products
(12 results)