2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Impacts of aerosols in East Asia on plants and human health |
Project/Area Number |
20120009
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
船田 良 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (20192734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 雄三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教 (90226043)
黒田 克史 独立行政邦人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (90399379)
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Keywords | エアロゾル / ブラックカーポン / 電界放射型走査電子顕微鏡 / 葉の表面構造 / 気孔密度 / 気孔開孔面積 / 樹木の成長 / 樹木生理学 |
Research Abstract |
本研究課題の最終目的は、越境大気汚染物質であるエアロゾルが樹木の生命現象に与える影響を実験的に解明することである。そこで、樹木の葉表面および内部におけるエアロゾルの吸収と吸着状態を、各種顕微鏡を用いて可視化し、樹木の成長や生理学的機能との関連性と樹種間差異を明らかにする。平成21年度は、葉の表面構造を網羅的に解析することと、人為的に暴露したブラックカーボン粒子をナノレベルで可視化する技術の確立を目標とした。 葉の表面構造を、レプリカ法を用いて網羅的に解析したところ、葉の凹凸の大きさや毛状突起の有無やその形態などが樹種により大きく異なっていた。また、気孔密度や気孔開孔面積にも樹種による大きな違いが認められ、葉の表面構造の違いはエアロゾルの吸収・吸着特性に影響を与えると考えられる。 エアロゾル粒子の吸収・吸着機構を解明するための手法の確立を目的として、複数の常緑広葉樹の葉に直径100nmに調整したブラックカーボン粒子を人為的に曝露し、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて可視化を行った。FE-SEMにより、葉の表面に様々なサイズの粒子が観察された。それらの中で、サイズが約50~100nmの粒子が観察された。噴霧したカーボン粒子のサイズは、直径100nmになるように調製したことから、これらの粒子は噴霧したカーボンであると考えられる。また、粒子の形状や集合状態からも、葉表面に存在する様々な粒子との区別が可能であった。葉の表面には、非常に多くのカーボン粒子が凝集したものやカーボン粒子が円状に配列する様子が観察され、暴露条件によりカーボンの葉への吸着状態が異なっていた。今回の結果から、低加速電圧を用い、表面構造を高分解能で観察可能なFE-SEMは、カーボン粒子の葉表面における分布を可視化する上で有効な方法であるといえ、ナノサイズのブラックカーボンの可視化技術を確立した。
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