2009 Fiscal Year Annual Research Report
樹木に対するエアロゾルの影響とその樹種間差異の解明
Project Area | Impacts of aerosols in East Asia on plants and human health |
Project/Area Number |
20120010
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
伊豆田 猛 Tokyo University of Agriculture and Technology, 東京農工大学・大学院・共生科学技術研究院, 教授 (20212946)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 厚 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 室長 (60343787)
矢崎 健一 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 主任研究員 (30353890)
野口 享太郎 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (70353802)
LENGGORO Wuled 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 特任准教授 (10304403)
|
Keywords | エアロゾル / 樹木 / 樹種間差異 |
Research Abstract |
近年、東アジアにおけるエアロゾルによる越境大気汚染とその生態系影響が懸念されている。しかしながら、エアロゾルが植物に及ぼす影響はまったく解明されていない。そこで、本研究においては、東アジアの代表的な樹種に対するエアロゾルの影響を実験的に解明することを目的とした。2009年5月8日に、鹿沼土を詰めた2Lポットにブナ、スダジイ、スギ、カラマツの苗木を1個体ずつ移植した。2009年6月1日に、各樹種の苗木をエアロゾル曝露チャンバー内に配置し、育成した。ブラックカーボン曝露を行わないコントロール区とブラックカーボン曝露を行うブラックカーボン曝露区を設定した。樹木へのブラックカーボンの曝露は、2009年6月13日から開始し、2日に1回、8:00~9:00の間に、静電噴霧法(10分間)と超音波噴霧法(5分間)で行なった。8月と10月に採取した葉の表面におけるブラックカーボン粒子の沈着状態を観察した結果、4樹種の葉表面にブラックカーボン粒子の沈着が確認できた。いずれの樹種においても、12月における個体乾重量に対するブラックカーボン曝露の有意な影響は認められなかった。8月においては、いずれの樹種においても、光飽和条件下における純光合成速度、蒸散速度、水蒸気気孔拡散コンダクタンスおよび葉温に対するブラックカーボン曝露の有意な影響は認められなかった。10月においては、ブナ、スダジイおよびアカマツの純光合成速度にブラックカーボン曝露の有意な影響は認められなかったが、比較的弱光条件下におけるカラマツの純光合成速度がブラックカーボン曝露によって有意に低下した。以上のように、一成長期にわたるブラックカーボン曝露は、4樹種の個体乾物成長や葉のガス交換速度などに著しい影響を及ぼさないことが明らかになった。なお、ブラックカーボンの曝露実験は、平成22年度においても継続する予定である。
|