2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Coral Reef Science for Symbiosis and Coexistence of Human and Ecosystem under Combined Stresses |
Project/Area Number |
20121005
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 徹 Keio University, 文学部, 准教授 (90306887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚橋 訓 お茶の水女子大学大学院, 人間文化創成科学研究科(研究院), 教授 (50217098)
朽木 量 千葉商科大学, 政策情報学部, 准教授 (10383374)
吉田 俊爾 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (70081627)
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Keywords | サンゴ礁 / 景観史 / 歴史生態学 / ジオアーケオロジー / 歴史人類学 / 八重山諸島 / 石垣島 / 社会ネットワーク |
Research Abstract |
今見る景観を人間の営為と自然の営力の絡み合いが生み出した歴史的産物として位置づける。その解明のためには、人文社会科学と自然科学を連接し、人間と自然の相互関係の複雑な連鎖をテーマとする歴史生態学的視点が役立つ。本研究では、その学際的な枠組みを基盤としつつ、サンゴ礁一人間系の動態的関係を通史的に把握することを目的に、具体的なフィールドとして人重山諸島の石垣島を選択した。特に石垣島の名蔵地区と白保地区を重点調査地域とし、河川系によって連接する海域と陸域を含めた島嶼景観の変化にかかわる情報収集のための現地踏査を、研究分担者ならびに連携研究者(慶大・佐藤孝雄)を中心にして総勢12名で3月25日-30日に行った。名蔵地区は、河川上中流域に礫層を母材とする赤土の堆積層があり、耕地や植林といった内陸部の利活用にともなう赤土流出と河口域の沖積化が長期的に連関している可能性を確認した。白保地区は石灰岩台地であり、その台地を開析する轟川の沖積作用は強くない。それゆえ、地味に乏しい石灰岩台地には現在、畜産のための牧草地が広がっている。名蔵地区に比べてサンゴ礁の発達が本来良い白保だが、おそらく近現代の開発によって陸域が裸地化し、石灰岩台地の上に薄く堆積していた土壌が短期間に礁池へ流出してきた可能性を確認できた。人間の活動と陸域の地形変化、ならびにサンゴ礁環境の変遷について、その通史的な連関性を解明するために、今後の調査項目として、ボーリング調査、考古学的遺跡の地形測量、植生調査、歴史資料調査、聴取調査を次年度(H21)の研究項目として想定し、石垣市文化課・沖縄県立埋蔵文化財センターをはじめとする現地諸機関ならびに関係者の方々と会合をもち、本研究の目的について理解いただくことによって協働関係の確立を図った。
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