2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Understanding the relationship between the structure of qualia and the structure of information processing extracted from brain activity |
Project/Area Number |
20H05712
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大泉 匡史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30715371)
|
Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
|
Keywords | 意識 / クオリア / 情報 / 統合情報理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が物を見た時、音を聞いた時などに感じる、主観的な体験の質(クオリア)は、言語化できない、定量化できないものとされてきた。しかしながら、ある体験に対するクオリアを単体で特徴付けようとするのではなく、他のクオリアとの間の関係性から特徴付けることは可能である。関係性とは例えば、似ている、似ていないという関係性のことを指す。具体的には、「赤」は「ピンク」には似ているが、「青」には似ていないといった関係性である。このような関係性をたくさん集めてくると、「赤」そのものを定量化していることと実質的に同じになる。この考えに基づけば、定量化不可能であると考えられたクオリアは、様々なクオリア同士の関係性が織り成す構造、「クオリア構造」によって、定量化できる。 本研究課題の目的は、クオリア構造によって定量化される、クオリアと脳活動との間にある数理的な関係性を明らかにすることである。 今年度はまず、異なる被験者のクオリア構造同士をラベルなしで比較する, unsupervised alignmentの手法の開発を行った。開発した手法をA01土谷班が大規模心理物理実験によって抽出した、色のクオリア構造のデータに適用して、異なる被験者間でクオリア構造の対応が取れることを示した。 また、ニューラルモデルネットワークを使って、実験で観測されるクオリア構造や神経活動の対応しえる、モデルの学習則の探索を行った。特に、contrastive learningと呼ばれる教師なし学習に着目し、モデルの潜在空間がfew shot learningを可能とする構造を持っていることを示した(片岡, 大泉, 神経回路学会, 2021)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は異なる被験者のクオリア構造同士をつなぐunsupervised alignmentの手法を開発しこと、contrastive learningを用いたニューラルネットワークの潜在空間の研究が進展したことなどから、研究計画は概ね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度の研究成果の論文化を進めていく。また、クオリア構造同士の対応関係を見る上で用いたunsupervised alignmentの手法を、B01班山田が記録する神経活動データにも適用して、神経活動データの構造とクオリア構造同士が対応するかどうかを調べることが課題である。
|
Research Products
(11 results)