2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Understanding and breaking the limit of human minds and performance |
Project/Area Number |
20H05714
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
西村 幸男 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, プロジェクトリーダー (20390693)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | 限界突破 / モノアミン / 脊髄損傷 / 可塑性 / 病態 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
損傷した神経接続と心が機能回復の規定因子であるとの仮説を立て、その仮説を脳機能画像による残存脳の可視化と抑うつ症状と意欲の心理調査によって検証し脳・脊髄損傷患者の脳と心の限界点と潜在能力を見出す。加えて、脳・脊髄損傷患者の潜在能力を引き出し、神経接続と心の限界を突破させることができる革新的な介入法を開発することを目指す。本年度は脳卒中患者と脊髄損傷患者を対象にリハビリ過程における心の縦断的調査研究を開始した。機能回復に伴う神経可塑性を検討するため、脊髄損傷者を対象として脳脊髄のMRI計測を行った。さらに、脳脊髄間での機能連関を解明に向け、脳脊髄活動を同時に計測する機能的MRI(fMRI)系を樹立した。その成果として、脊髄における運動準備活動を非侵襲的に描出することに成功した。また、特定脳領域の活動を自己制御するfMRI neurofeedbackにより、帯状回活動を自発的に促進することで肯定的感情を増幅できることを示した。脳と脊髄を撮像対象とした拡散強調MRIを用いて、ヒト皮質脊髄路の定量評価を実施し、ヒトの前頭葉における皮質脊髄路の分布を示した。脊髄MRIを脊髄損傷患者に適用し、そのデータを解析することで、損傷位置を脊髄レベルで示すことができた。動物実験では意欲中枢を電気刺激することにより、運動機能と意欲の同時促進に成功した。神経接続の限界の調査研究では、MRIで脊髄損傷患者で損傷領域の定量化と残存神経線維数の定量化ができた。切断神経を再結合させる人工神経接続により、脊髄損傷により麻痺した手の随意運動機能の再建に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
意欲関連領域である側坐核の活性化が運動意欲を高めるかをサルで検証した。すると、側坐核刺激中では刺激オフ中と比較して、サルは積極的に把握運動課題に取り組むようになった。よって、側坐核刺激は運動を始める動機づけの手法として有効であることがわかった。 機能回復に伴う神経可塑性を検討するため、脊髄損傷者を対象とする25名に脳脊髄のMRI計測を行った。さらに、脳脊髄間での機能連関を解明に向け、脳脊髄活動を同時に計測する機能的MRI(fMRI)系を樹立した。その成果として、脊髄における運動準備活動を非侵襲的に描出することに成功した。また、特定脳領域の活動を自己制御するfMRI neurofeedbackにより、帯状回活動を自発的に促進することで肯定的感情を増幅できることを示した。 脳と脊髄を撮像対象とした拡散強調MRIを用いて、ヒト皮質脊髄路の定量評価を実施し、ヒトの前頭葉における皮質脊髄路の分布を示した。脊髄MRIを脊髄損傷患者に適用し、そのデータを解析することで、損傷位置を脊髄レベルで示すことができた。 脊髄損傷モデルサルに対して、マルチニューロン記録可能なユタアレイを大脳皮質運動野に埋め込み、脊髄刺激のために電極を頚髄C6-T1に埋め込んだ。また、この2頭のサルを利用して、皮質ニューロンの活動依存的に脊髄を刺激し、右手首の運動を誘発させる人工神経接続を行った。その結果、接続に対してサルは接続元である皮質ニューロンの活動を用いて上肢運動を制御し、右手首の随意運動制御課題を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した側坐核刺激法は運動意欲を高めることが可能であることから、側坐核刺激を脊髄損傷モデル動物に適用し、積極的に麻痺肢を使用することを促すことによって、機能回復を促進可能か検証する。 脳脊髄同時fMRIを用いて脳と脊髄の機能的結合を、健常成人と脊髄損傷者で計測する。また、fMRI neurofeedbackにより帯状回活動の自発的制御により、運動出力を変調させることができるかを検証する。 人工神経接続を用いたリハビリを継続的に行い、運動機能と脳活動の変化を記録する。 トレッドミルによる高強度の辛い運動中とオープンフィールド上の運動時におけるセロトニン神経活動の測定を行う.
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Research Products
(13 results)