2020 Fiscal Year Annual Research Report
Visualisation of tissue heterogenisation by innovative multiplex imaging
Project Area | Innovative multiplex imaging with functional Raman probes |
Project/Area Number |
20H05726
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小幡 史明 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (40748539)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 組織複雑化 / 生体イメージング / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内における組織は時間とともに複雑化し、異質性の高い細胞集団へと変化していく。このような時間軸をともなう組織の変遷過程を理解するには、生きた生物個体における生体分子の多重イメージングが有効であると考えられる。本研究では、領域内にて開発される新規ラマンプローブを用いた多重イメージングの生体応用を行い、革新的な新規イメージング技術の実験系構築に貢献するとともにそれによる組織の複雑化の可視化を目的としている。これまでの解析から、まず、ラマンイメージングの実験系構築のため、領域内に開発されたラマンプローブをショウジョウバエ組織に適用した。その結果、組織全体におけるイメージングが可能であることが分かった。一方、今回適用したラマンプローブは、組織内における一細胞レベルのイメージングには適さないことが明らかとなり、新しいプローブ設計の必要性について、領域内にフィードバックを行った。 一方、ラマンプローブの開発とともにその条件検討のために蛍光プローブによるイメージングを先行して行っている。領域内神谷班にて開発された、新規ケージド化合物についてショウジョウバエでのイメージングを行った。共焦点顕微鏡を用いた解析から、本化合物が生体組織に応用可能であること、光照射を行った部位に特異的に蛍光ラベルが可能であることが明らかとなった。 組織複雑化過程を可視化する準備段階として、トランスクリプトーム、単一細胞RNAseqなどによる腸老化過程における変化を網羅的に記述した。その結果、老化によって有意に変化する多数の遺伝子群を同定出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は主にイメージングの準備・条件検討がメインであり、概ね予定通りに研究が進展している。領域内の共同研究が多数のテーマで同時進行しており、また研究の過程で見えてきた新たなテーマについても共同で解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、既存および新規に開発されたラマンおよび蛍光プローブによって酵素活性イメージングを試み、ショウジョウバエ組織のイメージングの最適化を引き続き行う。ショウジョウバエ組織内に、標的酵素および蛍光タンパク質を同時に発現する細胞集団を人為的に作出し、特定の細胞集団のみをイメージングできるような条件を探索する。 また新規に領域内小関班と協調し、老化に影響する栄養素であるアミノ酸動態を可視化するイメージング技術の確立を試みる。アミノ酸は低分子であり従来のイメージング法ではその可視化が難しいため、重水素置換したアミノ酸を用いて、その細胞内取り込みの可視化をラマン顕微鏡で行う。 また、初年度に明らかになってきた老化変動遺伝子については、発現パターンや変動機構をより詳細に解析し、複雑化過程を可視化するための候補分子の同定を継続して行う。さらに栄養や腸内細菌条件などの老化に影響する環境要因を積極的に操作させた場合に、腸老化過程に起こる変化を記述し、老化に寄与する変化を絞り込み、生体イメージングに供するべき標的遺伝子の同定を進める。
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