2021 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring models for physical degradation of polymers using diluted dynamic polymeric system
Project Area | Precision Degradation of Polymer and Polymeric Material |
Project/Area Number |
20H05733
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 崇匡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70456151)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | 高分子ゲル / 粘弾性体 / レオロジー / 異常拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
大きな構造変化を伴う朽ちゆく高分子材料の分解挙動は、モデル化が困難であり、その学理解明は未だなされていない。本研究では、「朽ちゆ く材料」の劣化・分解を調査するため に、適切な「複雑さ」と「時間スケール」を持つ動的高分子希薄系をモデルとして用いた実験を行う。 動的高分子希薄系は、その名の通り、時間により構造変化する希薄な高分子系で あり、粘弾性液体、粘弾性塑性体とその混合物を含む。 これらをモデル物質として、系統的な実験を行うことにより、分子動力学とメソ構造からマクロな分解特性を予測する物理モデルを得る。研究 領域内の他の研究で得た知見を取り込むことや、本研究で得たモデルを他の研究に適応することで学術を深化させ、より精緻なモデルを構築す ることを目指す。 本年度は、アモルファスの分解モデルとして、モデル粘弾性液体のダイナミクスについて調査した。 具体的には、蛍光プローブ修飾したモデル粘弾性液体を合成し、蛍光褪色後回復法を用いて、その拡散係数を評価し、拡散時間と拡散距離の比例関係が崩れる異常拡散が観察された。また、referenceとなるゲルの膨潤動力学について、その温度依存性を評価し、協同拡散係数にはエントロピー弾性由来の他に、エネルギー弾性由来の効果があることを初めて明らかにした。 結晶のモデルとしてゲル微粒子充填系粘弾塑性体を用いる予定であったが、最近、4分岐ポリエチレングルコールの濃度や分岐数を変えることで、自発的な構造形成が誘起され、より勘弁に粘弾塑性体を作製できることがわかった。そのため、構造形成の条件と構造の関係について網羅的に調査をし、相図を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進行しており、本年度中にはモデルスライムのダイナミクスに関する主要な結果をまとめ論文を投稿することできる予定である。さらに、塑性体のモデル系の確立ができ、今後、その拡散・分解に関する研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
スライムの粘弾性・拡散については一定の理解にいたり、論文化を進めている。今後は、そのダイナミクス in vitroおよびin vivoでの分解挙動について実験を進める予定である。こちらについても、スライムの前駆体高分子の蛍光修飾およびin vivo imagingについてプレリミナリーに確認している。さらに、塑性体のモデル系を確立できたため、同様の実験を2022年度に遂行する予定であり、今後の実験計画についても問題なく進められると考えている。
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