2021 Fiscal Year Annual Research Report
Engineering organoids on a chip based on tissue engineering approaches
Project Area | Science for virtual human development: Organ(s)-on-a-chips reveal systemic metabolic networks |
Project/Area Number |
20H05744
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福田 淳二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80431675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 周吾 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90528192)
大久保 佑亮 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (80596247)
西川 昌輝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (40843149)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 増殖培養 / 分化誘導 / 成熟化 / ティッシュエンジニアリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究領域では、人体を臓器・組織・細胞が複雑に相互作用するネットワークシステムと捉え、個別臓器とそれらがリンクした複数臓器による培養実験系、および全体を接続する数理モデルにより構成する。その中において本計画研究では、細胞の自己組織化(オルガノイド培養)を用いて個別臓器オルガノイドをチップ上に構築する。さらに、マーカー物質を連続モニタリングする手法を開発することでエンドポイント評価であるオミックス解析を補完する。 当該年度は、研究代表者の福田と分担者の大久保は、ヒトiPS細胞にゲノム編集を用いてシグナル伝達経路の活性を連続的にモニタリングする技術を確立した。これにより、特定のシグナルをかく乱する薬剤などを検出できることが示された。特に、エンドポイントアッセイとの比較において、連続モニタリングの有用性を示した。一方、研究分担者の遠山は、トリプトファン強化培地でのヒト多能性幹細胞の増殖を促進するためのプロトコルを確立した。また、in vivo三次元プリンティングによりiPS由来心筋細胞から足場を含まない管状人工心組織を構築できることを示した。さらに研究分担者の西川は、iPS細胞の未分化増幅について、細胞保護のための多糖類を添加した透析操作という方法にて、増殖因子の供給量をそのままに従来の8倍程度の超高密度細胞培養(3.2×107 cells/mLで世界最高)を達成した。iPS細胞の凝集培養について、ドーナツ状培養器を開発し、サイズを均一に制御可能な細胞凝集体培養技術を開発した。それぞれの研究成果は、英語論文として掲載されており、また国内外の学会において発表されている。以上により、ヒトiPS細胞の高品質かつ低コストの増幅技術と成熟化した各種臓器細胞の獲得、さらに3次元組織培養法が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高度な生理学性を備えた臓器をチップ上に構築する研究は10年ほど前から実施されてきた。しかし、従来の臓器モデルは、複数臓器を接続することを想定しておらず、外部から接続するチューブが機能や臓器を増やすたびに増加し、臓器間を接続することを困難としていた。本計画研究では、臓器を連結することを想定し培養液の送液はシーソー型ステージにより駆動するよう設計したため、チューブの接続などが不要であり、本研究領域に参加する研究者らが容易に利用可能となっている。 これまでにマイクロ流路で連結された3つの培養チャンバを備えたチップを開発し、両端の2つのチャンバで肝細胞と心筋細胞が、残る1つのチャンバでは膜上に腸上皮細胞が組織を形成させることができている。また、神経や腎臓などの組織構築に向けて、それぞれに必要な細胞や培養技術が組み上がってきている。生体外での組織構築は発生プロセスを模倣するが、これを人為的に制御して実験的に再現、予測、検証し、これを数理モデル解析と組み合わせて生命を理解する試みも実施している。そのため特定の組織に絞れば本研究領域の目標の一部は実現できており、研究はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したチップデバイス技術を基盤として、個別臓器モデルに求められる成熟細胞から構成された3次元組織の構築をさらに推し進める。各臓器モジュールの検証では、チップ上の細胞内代謝を変動させうる臓器間相互作用に関わるメッセージ物質(成長因子、シグナル物質、miRNA、エクソソームなど)の刺激を与え、代謝応答を時系列としてサンプリングする。 そして、A02班で構築した個別臓器チップをA03班で複数臓器連結システムとし、A01班で代謝物ネットワークの網羅的な定量化と数理モデルの比較検証を行う。このサイクルを繰り返して生理学機能をシステマチックに理解し、人体を工学的に理解する新しい学理の創製に取り組む。
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Research Products
(23 results)