2021 Fiscal Year Annual Research Report
長期の深宇宙ミッション遂行能力を有する超小型探査機システムの研究
Project Area | Agile and Frequent Solar System Exploration with Innovative Microsatellite |
Project/Area Number |
20H05748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船瀬 龍 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70509819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 洋輔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80803006)
中島 晋太郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任助教 (80873380)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | 超小型衛星 / 深宇宙探査 / 太陽系探査 / 超小型探査機 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 km/s 前後の増速が可能なキックモータ(軌道変換用上段ロケット)を搭載し,静止トランスファー軌道(GTO)や月軌道プラットフォームゲートウェイ(GW)から月,火星,金星などの深宇宙に向かう探査ミッションを高頻度に実施できる超小型探査機システムを実現することが本研究の目的である. 2021年度は,提案する超小型探査機システムの実現にあたっての最重要課題である,キックモーター作動時の姿勢・軌道制御系の設計を行った.深宇宙脱出のための高推力噴射は,質量が軽い超小型探査機に対してこれまでにない強い推力擾乱を与える.これに対処するため,スピン制御による姿勢安定方式と超小型機に適したシンプルな姿勢決定手法を適用した外乱に強い姿勢決定・制御システムを提案し,スピンレートや姿勢決定精度など重要な設計パラメータ間の相互依存関係を明らかにした.また,打ち上げ時期や放出軌道を選べないという相乗り打ち上げ機会利用における制約を緩和するため,各種誤差への柔軟な対処による燃料節約と,打ち上げ時期制約の緩和を可能にする軌道制御手法を提案した.そして,提案する深宇宙脱出シーケンスと一連の姿勢・軌道制御系設計手順の有効性を,具体的なミッション例として火星フライバイミッションを想定したケーススタディ(シミュレーション)を通じて検証した. また,超小型探査機システムの詳細設計の確定に向けて,システムの根幹部分である電源系,姿勢軌道制御系および推進系サブシステムを中心に,GTO軌道への相乗り打ち上げ条件を想定して設計を進め,システムの成立性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初計画に従い,提案する超小型探査機システムの実現にあたっての最重要課題であるキックモーター作動時の姿勢・軌道制御系設計を,シミュレーションにより検証することができた.また,技術実証ミッションのための打ち上げ機会が確定せず探査機の設計条件が完全には定まらない状況ではあるが,特定の打ち上げ条件・打ち上げ機会を想定して探査機のシステムの根幹部分の設計を進め,システムの成立性を確認することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度より検討しているGTO軌道への相乗り打ち上げを前提とした超小型探査機システムの検討に加えて,別の打ち上げ機会として想定される月遷移軌道への打ち上げに対応した超小型探査機システムの設計も実施し,多様な打ち上げ・ミッション機会に対応可能な超小型探査機システムの設計解を明らかにする.
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Research Products
(7 results)