2020 Fiscal Year Annual Research Report
ファウンダー(F0)世代からの解析を可能にする受精卵の遺伝子改変技術基盤の構築
Project Area | A new foundation for primate developmental biology |
Project/Area Number |
20H05763
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
築山 智之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 特任准教授 (60612132)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | カニクイザル / 遺伝子改変 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験動物の遺伝子改変技術は、遺伝子機能の解明、有用動物の作出、ヒト疾患の病態解明など、生物学、医学の発展に多大な貢献をしてきた。 本研究領域は、現状ブラックボックスであるヒトの着床後発生の解明のための基盤構築を目指しているが、ヒトにおける遺伝子改変は倫理的問題について議論が尽くされておらず、ヒト胚を用いることは難しい。よって、この目的達成のためには非ヒト霊長類胚を用いた効率的な遺伝子改変技術の確立が必要不可欠である。 本研究では、従来法のモザイク性や低効率といった欠点を克服し、次世代型の霊長類遺伝子改変技術の基盤を構築することで領域で構築する試験管内胚発生モデルにおける機能実験を可能にすることを目的とした。 本年度は、トランスジェニック動物におけるモザイク性の解消という短期目標の達成のために、トランスポゾンベクター法の改良を行った。トランスポゾンベクターは非ウイルス性であり、初心者でも容易に扱うことができる。また、挿入できる遺伝子のサイズに制限がないと言われており、過去にはBACの導入も報告されている。しかし、受精卵に応用した場合、2細胞期以降にもPBaseの活性が残っていると、挿入遺伝子のゲノムからの切り出しならびに転移が起こり、割球によって遺伝子型が異なるモザイクとなってしまう。 そこで、piggyBac(PB)トランスポゾンの転移酵素であるPBaseの改変を行い、その発現時期を制御可能なベクターを構築し、各種改変PBaseの活性およびBackgroundレベルを評価した。 さらに、PBaseの残存を視覚的に評価するために、蛍光タンパク質と改変PBaseとの融合タンパク質を搭載したベクターを作製し、受精卵へのインジェクションを行い、条件の最適化を行い、1細胞期にPBase活性が限局するような条件を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の予定通り、トランスジェニック動物におけるモザイク性の解消という短期目標の達成のために、piggyBac(PB)トランスポゾンの転移酵素であるPBaseの改変を行い、その発現時期を制御可能なベクターを構築し、各種改変PBaseの活性およびBackgroundレベルを評価した。 さらに、PBaseの残存を視覚的に評価するために、蛍光タンパク質と改変PBaseとの融合タンパク質を搭載したベクターを作製し、受精卵へのインジェクションを行い、条件の最適化を行い、1細胞期にPBase活性が限局するような条件を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年に続き、トランスジェニック動物におけるモザイク性の解消という短期目標の達成のために、piggyBac(PB)トランスポゾンの転移酵素であるPBaseの改変を行い、その発現時期を制御可能にする実験系の最適化を行う。 このため、昨年度に構築した各種改変PBaseのベクターおよびPBaseの残存を視覚的に評価するために蛍光タンパク質と改変PBaseとの融合タンパク質を搭載したベクターを活用するとともに、トランスジェニック動物を作出してモザイク性を評価し、さらに最適化する。 また、新規のノックイン手法を開発し、ノックイン動物におけるモザイク性や低効率といった問題の解決を試みる。
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Research Products
(3 results)