2020 Fiscal Year Annual Research Report
酸性適応におけるlysosomal exocytosisの普遍的重要性の解明
Project Area | Establishment of pH Biology |
Project/Area Number |
20H05789
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
船戸 洋佑 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60505775)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | 酸性適応 / リソソーム / PRL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では申請者ががん細胞の酸性適応機構の一端を担っていると明らかにしたlysosomal exocytosisの分子機構と、その酸性適応における種を超えた重要性を明らかにすることを目的としている。2020年度はlysosomal exocytosis依存的な酸性適応における内在性PRLの重要性について調べ、その結果酸性環境下で細胞を培養した際にPRL3の発現レベルがmRNA、および蛋白質レベルで上昇するとともにlysosomal exocytosisが惹起されること、そしてPRL3のノックダウンによりlysosomal exocytosisの上昇がキャンセルされることを見つけた。これまで行ってきたPRL高発現実験より明らかにしてきたPRLのlysosomal exocytosisおよび酸性適応における重要性と合致する結果であり、これらの結果をまとめ論文として公表した(Dev Cell 2020)。さらに、2020年度は関連分子探索として、標的既知化合物ライブラリーを用いたケミカルスクリーニングも実施した。得られた候補化合物のターゲット分子については、大阪大学医学部共同研が所持するshRNAライブラリーより個別遺伝子のクローンを入手し、ノックダウン細胞株を樹立し解析を行うことで、あるシグナル伝達経路のlysosomal exocytosisおよび酸性適応における重要性を明らかにした。この重要性はCRISPR/Cas9法による当該遺伝子のノックアウトによっても確認しており、今後この経路を介した酸性適応機構の詳細なメカニズムを解明してゆくことで、PRLに依存しない、より広範なlysosomal exocytosisおよび酸性適応の機構解明を目指してゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに酸性適応に関わる成果をまとめ論文として公表しているほか、新たな仕組みもケミカルスクリーニングから見つけている。当初の計画を上回る進捗であり、さらに研究を発展させてゆくことで酸性適応機構全体の理解を大きく押し進めることができる可能性もあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はスクリーニングから判明した新規経路、分子についてより詳細な解析を進めると同時に、がんにおける当該経路や酸性環境適応機構自身の重要性や、より多様な生物種における重要性をも追究してゆく予定である。
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