2020 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological study on the acquisition of skills, improving proficiency and sharing of tacit knowledge
Project Area | Lifelong sciences: Reconceptualization of development and aging in the super aging society |
Project/Area Number |
20H05806
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 守恵 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 准教授 (10402752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重田 眞義 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (80215962)
山越 言 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (00314253)
伏木 香織 大正大学, 文学部, 教授 (30436696)
座馬 耕一郎 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (50450234)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 技能 / 習熟 / 身体技法 / アジア / アフリカ / 職能集団 / 音楽 / 評価尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジアやアフリカのさまざまな地域において、技能集団が身体技法を習熟する過程(=技能を獲得・熟練させる一連の過程)を記述した上で、その過程と生物学的発達との相関性を検証しながら、多様な社会システムにおける文化的発達の制度化を描きだすことを目指す。 初年度は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を考慮して、インターネット会議システムなどを活用して、研究班内研究会を実施したほか、海外のカウンターパートと個別にオンラインミーティングを実施し、研究計画の共有をおこなった。2021年2月7日には、京都大学内の医学系の研究プロジェクト(SPIRITS)と連携して、生涯学に関わるポスターセッションを企画・実施した。2021年3月25日には、同じ領域研究内の他班と連携しオンライン若手ワークショップを実施した。 初年度に予定していた調査渡航や対面での国際ワークショップの開催及びその成果発信については、次年度(2021年度)に実施する予定で繰越手続きをとったが、次年度も新型コロナウィルス感染症の拡大が深刻化したため、研究班内の若手研究者を主な対象にして、研究班のメンバーや海外のカウンターパートが参加して、オンラインレクチャーシリーズを企画・実施し、多元的な生涯学観の創出を念頭においた調査研究方法等について議論をおこなった(2022年2月1日-3月2日)。 また、生涯学と人類学的アプローチというテーマで国際ワークショップを開催し、今後の研究活動の方針について海外のカウンターパートと議論した。2021年11月以降、参照フィールドであるエチオピアの政治情勢が不安定になったことに伴い、2022年3月12日に、John Abbink教授(ライデン大学)を招いて、今後の現地調査を念頭において、最新の政治情勢について発信するround table talkを企画し、Youtube配信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(2020年度)と繰越をした分の次年度(2021年度)において、次の2点に関して、本研究課題は少し遅れ気味と考えている。 (1)調査研究:当初は、この研究プロジェクトが対象にしている参照フィールドと連携フィールドのうち、可能な範囲内で調査のための渡航を予定していたが、2020年度及び2021年度は、新型コロナ感染症の拡大のため、海外への渡航は全て取りやめた。この研究プロジェクトでは、渡航ができない状況であったため、代表者、分担者、海外のカウンターパートが連携して、若手研究者に対して、フィールドワークに関するオンラインレクチャーシリーズ(英語にて実施)を企画開講した。 (2)学術交流:本計画班国内メンバー、海外メンバー、この研究班以外の領域研究メンバー、そして、この領域研究以外の研究者、4つのレベルにおいて、この研究班の問題意識と研究計画を共有するための学術交流を実施した。2020年12月に計画班内で研究会を開催した。2021年2月には、カウンターパート機関の研究者と個別にオンライン研究打合せを開催し、研究計画の共有を行なった。2021年2月7日には、この領域研究以外の京都大学内の医学系の研究者と連携して、生涯学に関わるポスターセッションを企画・開催した。2021年3月25日には、この研究班以外の領域研究に関わるメンバーとともに若手ワークショップを企画・開催し、研究班を超えた生涯学研究の連携可能性を模索した。 繰越により次年度、海外へ渡航する代わりにオンラインレクチャーシリーズや国際ワークショップ(2022年2月23日)を企画・実施した。さらに、領域研究以外の研究者に向けて、エチオピアの政治状況についてRound Table Talk(2022年3月12日)を企画・実施した。初年度刊行予定であった報告書ZAIRAICHI-生涯学号を、2021年度に完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度(2020年度)に続き次年度(2021年度)も新型コロナウィルス感染症の拡大が深刻であったため海外への渡航を見あわせた。このため、今後も、海外への調査渡航は可能な範囲内で実施することにし、国内で調査に取り組むもしくは、これまで収集した調査データを整理し、生涯学の研究テーマに沿って検討・分析を進める。とくに、技能の習熟や生物学的に年齢を重ねることと、社会的な立場の変化などを表す語彙や用例の整理・分析に取り組む。身体動作の分析と連携して、言語的な情報を分析軸に加えることを検討する。 また、研究メンバーによっては所属機関が海外への渡航を認めていないところもあるため、その際は海外からカウンターパートを招聘するなどして、対面での学術交流や研究活動のための打ち合わせを行う。 これに加えて、2021年度に実施したオンラインレクチャーシリーズでの質的調査と量的調査によるデーターを融合させた検討方法について、医学系の調査にて取り組んでいる身体機能を評価する尺度を一部援用して、現地調査で利用できるような尺度や調査項目を検討する。技能の習熟や身体動作を検証する際に、評価尺度は対象とする集団の特徴や傾向を把握する方法として可能性があると考えている。それと同時に、フィールドワークにて得られる質的なデータとの関連性も考慮して、研究班内のメンバーが各フィールドにて活用できるような簡易評価尺度を検討する。 さらに、インターネット会議システムなどを活用して、研究班内のメンバーや海外のメンバーと学術交流に取り組む。この研究班のテーマに関連して若手の研究者との交流を念頭において、研究会を積極的に企画・開催する。また、新しい研究領域としての「生涯学」の可能性について、ウェブサイト、文化人類学会学術大会(2021年5月29日、30日)、そして一般向けの講演会等で発信する。
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Research Products
(29 results)