2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Excavating earthenware: Technology development-type research for construction of 22nd century archeological study and social implementation |
Project/Area Number |
20H05812
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
阿部 昭典 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (20710354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
水ノ江 和同 同志社大学, 文学部, 教授 (10824568)
西田 泰民 新潟県立歴史博物館, その他部局等, 研究員 (80172667)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 繊維土器 / プラント・オパール分析 / X線CT分析 / 土器圧痕分析 / 製作実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずプラント・オパール分析では、京都府宮ノ下遺跡出土土器と製作実験土器などの分析を実施しており、宮ノ下遺跡出土土器からはヨシ属のプラント・オパールが検出された。今後とも、混和植物解明のために、分析数を増やすとともに、繊維土器と非繊維土器との比較も進めていく予定である。 また繊維土器のX線CT分析は、画像から混和された繊維量や形状、種などを解明するのが目的であり、これまで東日本と西日本の土器の分析を進めてきている。東日本では、東京国立博物館で、10数点の撮影を行っている。時期や地域による多様性や個体差などが予想されるので、対象地域で分析データを増やしていく必要がある。 混和された繊維の同定のための土器圧痕分析では、同定作業はA02班で実施する予定である。これまでの資料実見で確認できたことは、含まれる繊維痕は、数㎝と短く、0.5㎜以下の非常に細い繊維が主体で、稀に数㎜幅の太い繊維も含まれることがある。加えて、繊維痕はランダムに入るのではなく、土器器面に対して横方向に入ってくる傾向がある。これらの特徴は、従来の研究でも指摘されてきたことで、A03班の資料観察においても追認できたと言える。今後は、土器圧痕レプリカ分析などから、混和された植物種や部位、形状、乾燥状態か青草状態か、などを解明していく予定である。 製作実験は、実験の準備段階と言えるが、製作実験や焼成実験(野焼き)を実施しており、その際、焼成時の温度測定を行っている。 研究成果の公開は、科研費研究成果公開事業(きらめき・ときめきサイエンス)を、中・高生向けに実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずは、海外での資料調査に関しては、ここ数年のコロナ禍で実施が困難であったため、海外での比較資料の調査は、国内の所蔵資料や文献で行っただけである。コロナが収束するば、海外での資料調査も可能になると考えられる。 さらに、国内での資料調査も、コロナ禍の影響は少なからずあり、特に最初の2年間は、ほぼ国内での資料調査は難しい状況にあった。しかし、2年目後半以降、本格的に資料調査や分析を実施し、徐々にではあるが、遅れは取り戻してきていると考えられる。 また、分析においては、これまでに研究成果が多くはない、非常に細かな繊維土器の繊維の特定を目的としているため、多くの面で試行錯誤している。しかし、試行錯誤のなかで、より確実な方法に改善してきており、これから明確な成果が得られると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、土器に含まれる混和繊維の種類や部位などの特定に向けて、分析データの蓄積が重要になる。各分析サンプルに関しては、西日本、東日本で分析候補資料を継続的に探していく予定で、東日本では千葉大学所蔵資料を中心に、関東地方や北陸地方、東北地方での分析資料を抽出していく計画である。 これらを対象にして、プラント・オパール分析、X線CT分析、土器圧痕レプリカ分析、などを進め、データの蓄積を行っていく計画である。 さらに、繊維土器の製作、使用実験に関しても、製作実験、焼成実験を開始しているが、今後の混和繊維の形状や種類、量などの分析結果を、製作実験に反映させながら、本格的に製作・使用実験も進めていく予定である。 また世界の新石器時代以降の繊維土器や、民族事例との比較検討から、その意義や背景を考察していく計画です。そのためにも、海外での類例の資料調査は必要不可欠であり、韓半島などの東アジア地域、東欧地域などで資料調査を実施する計画である。
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