2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Ideas of the Muslim Community and the Muslim States
Project Area | Connectivity and Trust-building in the Islamic Civilization |
Project/Area Number |
20H05827
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋葉 淳 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00375601)
黛 秋津 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00451980)
長縄 宣博 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (30451389)
太田 信宏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40345319)
真下 裕之 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (70303899)
堀井 優 同志社大学, 文学部, 教授 (70399161)
馬場 多聞 立命館大学, 文学部, 准教授 (70756501)
沖 祐太郎 九州大学, 法学研究院, 専門研究員 (90737579)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | イスラーム国家 / コネクティビティ / 国際法 / 帝国エリート |
Outline of Annual Research Achievements |
イスラーム信頼学 国際会議 “Conflict and Harmony between State and Market” をオンラインで2022年12月10日~12日にイスラーム信頼学A01班との共催で開催した。研究代表者の近藤信彰のほか、Michael Talbot氏(Greenwich大学)およびJos Gommans (Leiden大学)が報告を行い、近世外交が持つコネクティビィティと国家と市場の関係について論じた。 また、以下の9回のイスラーム信頼学ワークショップを主にオンラインで開催した。“Using Transkribus to explore networks in Islamicate societies: An introductory guide” (2022年5月29日)、「イスラームの知の展開とコネクティビティ」(同7月18日)「権力との信頼の構築と破綻」(同7月20日)、「中世のイエメンとインド洋における移動」(同8月6日)、“Revenge of the Vernacular: Muscovy’s Turkic Engagement with the Persianate World”(同10月2日)、「近世ムスリム外交の背景」(同10月23日)、「オスマン対外関係の諸相」(同11月26日)、「移民経験と語り」(同12月23日)、「アフガニスタン問題と越境的イスラーム主義の起源」(2023年3月26日)。 コロナ禍のために海外調査が難しかったが、2023年3月に代表者近藤がトルコで調査を行い、また、研究機関研究員の守田まどかが繰越分を利用して、2023年12月にトルコで調査を行うことができた。 近藤、守田はイスラーム信頼学の出版シリーズ、「イスラームからつなぐ」の第1巻『イスラーム信頼学へのいざない』に第5章およびessay2を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトは2年度目に入ったが、コロナ禍でなかなか分担者が集まれないなか、あるいは海外からの招聘が難しいなかで、オンラインを中心にワークショップを重ねた。その結果、特に分担者の興味関心やこのプロジェクトでどのような成果を上げうるかが、徐々に明らかになった。特に、11月に行われたワークショップ「オスマン対外関係の諸相」は、オスマン朝がヨーロッパと結んだアフドナーメ(条約)と附庸国に関するこれまでのオスマン朝対外関係の研究蓄積を示しつつ、今後の研究のための課題を明らかにするものであったが、この分野の厚い研究の到達点を知る重要な機会であった。国際関係や外交についての知見は12月国際会議も含めて共有され、今後すべき課題が示された。また、10月に行われたワークショップ「近世ムスリム外交の背景」は、予備的な考察ながら、古典イスラーム的世界観とムスリム諸国家の外交政策の間の相克を論じたものであった。この意味で国家間関係にかかわるコネクティビティについては、着実に研究が進んだ。 一方、国家を支えるコネクティビティ、あるいは国家が利用するコネクティビティについては、十分な時間を取ることができなかった。コロナ禍で困難だった海外調査、海外からの研究者の招聘もあわせて課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、コロナ禍の影響でオンラインを中心とした活動に限られていた。オンラインの研究会にも移動の時間が必要ないという利点はあるものの、深い議論をしたり、付加的な情報を得たりするには適していない。状況が改善されたため今後はオフラインやハイブリッドのワークショップを増やしていきたい。また、これまで障害が多かった海外での調査や海外からの研究者の招聘にも、状況を睨みながら計画し、実行していきたい。海外の研究者との議論は、研究の国際性を担保するために必要不可欠であり、そうした機会を増やしていきたい。 国家とコネクティビティの関係について、上述のように国際関係や外交史の面では2021年度までに大きな進展があったが、垂直方向の権力関係をと水平方向のコネクティビティの関係を、国家を鍵として考えるという当初の目的からすれば、国家を支えるコネクティビティ、国家が利用するネットワークについて、研究する必要がある。とりわけ、イスラーム信頼学シリーズのスケジュールが決まり、本研究グループが担当する第5巻『権力とネットワーク』(2024年度刊行)に向けて、ワークショップを積み重ねて、最終的な成果に結びつけていきたい。
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Research Products
(18 results)