2020 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of Symbiotic Communication between Artificial Nucleic Acids and Human Immune Systems
Project Area | Biophysical Chemistry for Material Symbiosis |
Project/Area Number |
20H05874
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山吉 麻子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (70380532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植畑 拓也 京都大学, 医学研究科, 助教 (50785970)
山本 剛史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (80636994)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / 免疫応答 / エクソソーム / 抗体産生 / 弱い相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、免疫原性を引き起こしうる核酸医薬―生体相互作用を見出し、定量的な解析を行うことを目指す。2020年度は主に下記2項目について重点的に推進した。 1 人工核酸に対する免疫応答の迅速評価系構築 様々な人工核酸に対する免疫応答を迅速かつ定量的に評価するための評価系を構築した。具体的には、IFNレポーターシステムを用いたハイスループット測定法により人工核酸ライブラリーを対象としてスクリーニングを行うアッセイ系の構築を行った。さらに詳細な免疫応答の検証に関しては、ヒト末梢血単核細胞を用いて、I型IFN(IFN-α/β)及びIFN誘導遺伝子(IP10など)を評価していく予定である。 2 人工核酸を搭載したオリゴ核酸の免疫応答評価 ホスホロチオエート型核酸医薬は、天然核酸に比べて生体安定性が高く、血中タンパク質結合率を向上させることから、多くの核酸医薬で利用されている。一方、リン酸ジエステル部の非架橋酸素のひとつがS原子で置換された構造のため不斉P原子を有することから、2の(n-1)乗種(nは鎖長)のジアステレオマー混合物として開発されている。これら単一化合物でない化合物「群」に対して自然免疫応答や獲得免疫応答が起こる機構を解明し、その要となる「弱い相互作用」について追求する。まずはホスホロチオエート型核酸の免疫惹起性についてその構造活性相関を見出すべく、種々の塩基配列、糖鎖修飾を有するホスホロチオエート型核酸を合成し、これらの化合物について抗人工核酸抗体の産生能の評価系の構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は本領域の計画研究実施の初年度に当たる。コロナ禍の影響で審査自体が遅延し、今年度は実質的な研究期間が4ヶ月ほどであった。このため、研究の進捗に関しては当初は不安があったが、領域研究推進のための地盤固めは出来たのでは無いかと思われる。ただ、全てが完璧という状況には至ってないので、今年度立ち上げた研究基盤を、来年度以降もより発展させていく努力が必要であろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、免疫原性を引き起こしうる核酸医薬―生体相互作用を見出し、定量的な解析を行うことを目指す。2021年度は主に下記3項目について重点的に推進する。 1 エクソソーム上のHLA-Gの免疫抑制機能の解明:エクソソーム上のHLA-G が結合する細胞受容体を同定する。ヒトでは、MHCクラスI特異的な細胞受容体は数種類あり、このうち細胞膜表面のHLA-G との結合が確認されているのはNK細胞のKiller cell inhibitory receptor (KIR)、 ならびにT細胞受容体(TCR)である。エクソソームを細胞培養上清から回収し、エクソソーム膜からHLA-G 分画を分離後、SPRを用いてKIRならびにTCRとの結合に伴う速度論的パラメーター(k-on,k-off)を解析する。また、細胞内取込機構について、A01-1班大場らと協働で全細胞ライブイメージングにより観察を行う。 2 人工核酸に対する免疫応答の迅速評価系構築:様々な人工核酸に対する免疫応答を迅速かつ定量的に評価するための評価系を構築する。具体的には、IFNレポーターシステムを用いたハイスループット測定法により人工核酸ライブラリーを対象としてスクリーニングを行う。また、核酸医薬として既に認可されているミポメルセンに対する免疫反応を解析するため、核酸認識に関与する遺伝子欠損細胞にミポメルセンを導入し、その免疫応答を網羅的に解析する。 3 リガンド搭載型核酸医薬の免疫応答評価:核酸を認識する自然免疫系のレセプターの多くがエンドソーム膜内に存在し、核酸をエンドサイトーシス経路で細胞内に取り込む間にセンシングが行われている。そこで、人工核酸の細胞内取込速度と自然免疫応答・獲得免疫応答が起こる関係性を解明すべく、リガンド搭載型核酸の免疫惹起性についてその活性相関を見出す。
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Research Products
(20 results)