2021 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of Symbiotic Communication between Artificial Nucleic Acids and Human Immune Systems
Project Area | Biophysical Chemistry for Material Symbiosis |
Project/Area Number |
20H05874
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山吉 麻子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (70380532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植畑 拓也 京都大学, 医学研究科, 助教 (50785970)
山本 剛史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (80636994)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / 免疫反応 / エクソソーム / 弱い相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫原性を引き起こしうる核酸医薬―生体相互作用を見出し、定量的な解析を行うことを目的とし、主に下記3項目について重点的に推進した。 1 エクソソーム上のHLA-Gの免疫抑制機能の解明(山吉):エクソソーム上のHLA-G が結合する細胞受容体を同定することを目的とした。ヒトでは、細胞膜表面のHLA-G との結合が確認されているのはNK細胞のKIR、 LILRファミリーなどが候補分子として考えられる。A01-2班・前仲らとの共同研究により、これらの受容体のリコンビナントタンパク質を用いた阻害実験を行ったところ、LILRファミリーのうち一部のタンパク質を用いた場合に、エクソソーム随伴導入システムで抑制されていた免疫抑制反応が阻害された。よって、エクソソーム上のHLA-Gが入力する免疫抑制機構にLILRファミリータンパク質が関与している可能性が見出された。また、細胞内取込機構について、A01-1班・大場らと協働で全細胞ライブイメージングにより観察を行なった結果、エンドサイトーシスでエクソソームが細胞内に導入されている様子が観察された。 2 人工核酸に対する免疫応答の迅速評価系構築(担当:植畑):IFNレポーターシステムを用いたハイスループット測定法により種々の人工核酸を対象としてスクリーニングを行った。この系を用いて、核酸医薬として既に認可されているミポメルセンに対する免疫反応を解析した結果、複数の細胞内核酸センサー分子の関与が認められた。今後、詳細なメカニズム解明を急ぐ。 3 リガンド搭載型核酸医薬等の免疫応答評価(担当:山本):人工核酸に対して自然免疫応答・獲得免疫応答が起こる機構を解明すべく、種々の塩基配列・化学修飾を有する人工核酸を合成し、これらの化合物について in vivo にて免疫反応を検証した。あるモチーフを人工核酸に取り入れることで免疫反応が抑制されることが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は本領域の計画研究実施の2年目に当たる。コロナ禍の影響で審査自体が遅延し、今年度が実質的な研究スタートであったと言える。昨年度、領域研究推進のための地盤固めは出来ており、定期的にオンライン会議などを行なって進捗状況の把握につとめたため、研究成果も実りつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、主に下記4項目について重点的に推進する。 1 エクソソーム上のHLA-Gのもつ免疫抑制機能の解明(山吉):エクソソーム上のHLA-G が結合する細胞受容体を同定を行う。昨年度得られた成果により、候補分子をある程度、絞り込めているので、さらに詳細な阻害実験などの手法によってHLA-G が結合する細胞受容体を絞り込む。 2 抗人工核酸抗体産生系の構築(山吉):高度に最適化された核酸医薬品に対しても抗体産生され、核酸医薬実用化の大きな障壁の一つとなっている。このメカニズム解明のため、人工核酸に対して抗体産生する動物実験モデルを作成し、人工核酸の化学修飾が抗体産生能にどの様に影響するか評価する。この実験は公募研究班A02清水らとの共同で推進する。 3 人工核酸に対する免疫応答の迅速評価系構築(担当:植畑):核酸医薬として既に認可されているミポメルセンに対する免疫反応機構を明らかにするため、核酸認識に関与するタンパク質をコードする遺伝子を欠損した細胞にミポメルセンを導入し、その免疫応答を網羅的に解析する。また、ルシフェラーゼ・レポーターアッセイを基盤とした手法も取り入れ候補となる人工核酸による免疫応答を評価する。加えて、独自に開発した免疫制御人工核酸を用いて,in vitro及びin vivoにおいて免疫応答を評価する。 4 様々な化学構造を有する核酸医薬の免疫応答評価(担当:山本):核酸医薬の投与によって免疫反応や腎毒性など、様々な問題が認められているが、その詳細なメカニズムは明らかにされていない。そこで、様々な二次・三次構造を持つ人工核酸を合成し、免疫反応や腎毒性を軽減しうる構造・モチーフを探索する。得られた候補分子を用い、そのメカニズム解明に挑む。また並行して、上記3で構築したレポーターアッセイ系を用いた免疫応答評価を培養細胞系においても確認する。
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Research Products
(35 results)